先週の楽天証券21周年セミナーでは、事前に非常に多くのご質問をいただきました。興味深かったのは、これらご質問のほぼ全てが大きく、下記5つのテーマに当てはまるという事でした。ですので今回は、これら5つのテーマについて私なりの考えを示しておきたいと思います。

#1経済と株式相場の乖離について

 最も多かったのが、来週発表されるアメリカの第2四半期GDP(国内総生産)はマイナス35%予想、失業率も10%を上回る状況が続いている中、何故株式相場はほぼ高値を回復しているのか、というご質問でした。

 簡単に申し上げれば、株式というのは永久証券なので、いかなる経済ショックであってもそれが比較的短期のものであれば、本来株価に大きな影響があってはならない、という事になります。

 歴史的に見てみますと、リセッション時に株価が大きく下がるのはその通りなのですが、アメリカの場合ほとんどのリセッションは、需要を先食いしてしまってその後回復に何年かかるか分からない、という状況を嫌気するパターンです。その点で今回の新型コロナウイルスは恐らく、少し長めの短期的ショックという珍しいパターンなので、経済と株式相場の乖離(かいり)を疑問視されている方が多くいらっしゃるのかもしれません。

 ちなみにこの点について、私は3月に相場が大きく下落する前からずっと申し上げてきており、むしろ株式相場を短期的ショックと結びつける3月の方が異常な状態だったと考えています。

#2二番底はあるのか

 現在、S&P500指数は3月の安値から45%以上高い水準にあります。#1の疑問や高所恐怖症もあって、この水準ではなかなか手が出ない、二番底があるならそれまで待とう、と考える方が多いのも理解できます。もちろん相場の事なのであらゆる可能性に対してゼロとは断言できませんが、私は限りなくゼロに近いだろうと考えています。

 というのは、安値を付けた3月23日の状況を思い出してみてください。感染者が爆発的に増加し、それに対する医療のキャパシティーが足りない、有効な治療薬も無い、ワクチンの開発など着手されていない、そもそもコロナの正体も分からない。経済活動はストップされ、生活の補償も無ければスーパーで生活物資も売り切れ続出、という真っ暗闇の状況です。逆に言えばこの先二番底が来るとすれば、これらの条件が全て整わなくてはなりません。

 同日FRB(米連邦準備制度理事会)が空前の流動性供給に乗り出し、3月27日には2兆ドル超の経済対策が成立して現在実行中である事等も勘案すると、例え今後コロナ第二波が訪れようとも、再びあの水準を見る事は無いと考えるべきだと思います。