ワクチン関連株をトレードする際に気を付けること
さて、ここまでの臨床が順調だったからといって、第3相臨床試験がうまくいくとは限りません。
まず、これまでの臨床試験の規模は数十人から数百人程度ですが、第3相臨床試験は3万人という大掛かりなものになります。
一般にワクチンは製造が難しく、小さいロットで生産しているときは問題がなくても、量産すると期待した効き目を得られないことがあります。
最終的にワクチンを承認するのはFDAの仕事です。FDAは新型コロナウイルス・ワクチンを承認する足切り基準として「単にワクチンを投与された人の体内に、抗体やT細胞ができたというだけではダメだ。実際に新型コロナへの感染が50%以上抑えられたことがデータで確認されなければ承認しない」と明言しています。
これはかなり高いハードルです。
最初に第3相臨床試験に入るのはファイザー/バイオンテックとモデルナです。
両方とも7月の終わりに第3相臨床を開始します。被験者は1回注射を受けた後、4週間後にもう1回注射を打たれます。つまり早くても8月24日の週までは、臨床試験が順調かどうか? に関するニュースは出ないのです。したがってこの期間は悪いニュースがもたらされるリスクは比較的小さいと思われます。
しかし、気を付けないといけないのは8月24日以降です。
なお、トランプ米政権は8月10日から25日くらいの間に「ワープスピード計画」に基づき、備蓄向けワクチンの大量発注を行うことを予定しています。このニュースがもたらされれば、受注した企業の株が上昇する可能性があります。
これらのことを総合すると、備蓄向けワクチンの大量発注のニュースが出た後で、ワクチン株相場から降りるという戦術が手堅いトレードの進め方のように思われます。