国際機関のリスクシナリオの実現度

 新型コロナウイルスの感染が拡大すれば景気はどの程度悪化するのか、IMF(国際通貨基金)、世界銀行、OECD(経済協力開発機構)の国際機関は、感染が拡大した場合のリスクシナリオを公表しています。

 IMFは6月に公表した2020年のGDP成長率を▲4.9%と予測し、4月時点から1.9%下方修正しました。新型コロナウイルスによって先進国と新興国がそろって景気後退に陥り、経済損失は2020年、2021年の2年間で12.5兆ドル(約1,300兆円)と試算しています(2018年の世界のGDP[国内総生産]は85兆ドル=約9,100兆円)。2年間の損失規模は日本のGDP(約536兆円)の2.4倍に相当し、雇用などに大きなダメージとなると分析しています。

 IMFは「世界経済は大恐慌以来で最悪の景気後退だ」と指摘。大恐慌時の1930~1932年は世界経済が17~18%も縮小したとされていますが、新型コロナウイルス感染第2波が避けられれば、2021年は+5.4%のプラス成長に回復すると予測しています。

 この回復シナリオは、新型コロナウイルスの感染が2021年にかけて終息するとの前提で見通しを立てている基本シナリオです。一方、この基本シナリオとは別に感染が終息せず、第1波の感染再拡大や第2波が発生した場合のリスクシナリオも予測しています。IMFだけでなく、世銀やOECDなどの国際機関もリスクシナリオを立てています。