株価下落でも、利益がねらえる!
ドーシタ師範 ふーん。そんなものか。では虎の巻三つ目を授けよう。
ドーシタ師範 現物取引と同じように、上昇をねらってする取引は「買い建て(かいたて)」と言う。これは売り建てよりイメージしやすいだろう。一応取引の流れを説明しよう。
<買い建ての流れ>
1:タケルは証券会社から100万円を借りて、値上がりすると予想したB株を株価1,000円で1,000株買って、100万円払った
2:B株が値上がり。タケルは株価1,200円で売って、売却代金120万円を受け取る
3:タケルは借りた100万円を証券会社に返す
4:タケルの手元には、2の売却代金120万円から、3で返した100万円を引いた差額20万円が残る→利益
※実際の取引には、売買手数料や金利などのコストがかかります。 |
タケル 信用取引では、株式の上昇局面でも下落局面でも取引ができるとは便利ですね。株式投資をすると必ずその株式が値下がりするという友人がいます。彼に今度買おうとしている株を聞いて、売り建てしてみようかな。でも、証券会社はとても親切ですね。資金が不足している人にはお金を貸して、株も貸してくれる。
ドーシタ師範 証券会社はお金や株を貸したりして、多くの人に取引をしてほしいと考えているからだ。取引が活発化すれば、証券会社に手数料などで利益が出る。それに、株式市場が下落気味になるたびに、いちいち取引が減ることになれば、株を売りたくても売れない人が増え、誰も安心して株取引をしたいと思わなくなるだろう。だから、信用取引は株式の流動性を支えているものでもある。
タケル 信用取引ってすごいな。なぜ今までしなかったのか悔やまれます。
ドーシタ師範 信用取引は現物株式取引よりリスクが高いため、誰でも取引ができるわけではないのだ。市場動向や株式取引の知識と、そしてリスクを十分に理解した者だけが信用取引を許可される。信用取引をするには専用口座の開設が必要で、このときに経験と知識をチェックされることになる。そして、信用取引は投資額や株式を借りている仕組み上、取引の間、売買時手数料の他に、金利などのコストが現物取引よりも掛かることも忘れてはいけない。
タケル よく分かりました。ドーシタ師範、そろそろ取引を教えてください。実践編はまだですか。
ドーシタ師範 そろそろ次回から始めるか。
――【4の巻】へ続く
◆売り建て(うりたて)とは[信用取引ことば解説]
値上がりを予想して利益をねらう取引とは逆に、将来、値下がりすると予想した株式を売った後、値下がりした時点で買い戻して利益をねらう投資方法のこと。
信用取引はじめて道場
この連載では、信用取引をスタートするために必要な準備と、株式の売買一巡するために求められる知識とテクニックを身につけてもらうことを目的にしています。
「信用取引は難しくて、よく分からない」という人にもできるだけやさしく、信用取引のメリットとデメリット、そして手数料などのコスト、さらには特有の言葉遣いの解説をします。現物取引はしているけれど、信用取引はやったことがない人が自分で銘柄を選び、取引一巡するまでをナビゲートします。
そして、信用取引が力を発揮するのはどんな局面なのか、上手な信用取引の仕方などの技を主人公とともに学び、株式取引のレベルアップをしていきましょう。