かつての人気ファンドも苦境に

 しかし、そんな「超高分配」も今は昔。もともと財政基盤の弱かった新興国各国は、今回のコロナ・ショックで大幅な政策金利の引き下げを余儀なくされました。金利が低下すると、その通貨の魅力が低減するため、資金が流出し通貨も下落する…という悪循環に陥ってしまうのです。直近では、6月17日にブラジルが史上最低水準となる2.25%まで金利を引き下げました。さらに、ブラジルレアルは、対円で見ると、過去1年間で約25%下落しています。

 結果として、高い金利を味方に高分配を実現してきた新興国債券や新興国通貨の毎月分配型ファンドは、その多くが分配金を引き下げたり、元本を取り崩しながら分配したりという事態に見舞われています。新興国の中でも、投資信託への影響範囲が大きかったのが、ブラジルレアルです。

なぜ注意が必要なのか?分配金が出る仕組み

 では、ここで改めて、投資信託の分配金の仕組みについておさらいをしておきましょう。

 預貯金の利息が元金とは別々に管理されているのに対し、投資信託の分配金は決算を迎えるまでファンドの資産と一緒に運用されています。決算日にこの運用資産の一部を切り出す形で分配金が支払われるため、決算の直後は資産価値が減り、基準価額も低下します。つまり、分配金の支払いは、基準価額の低下要因となるのです。