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 6月8日に全米最大の感染地となったニューヨーク市が約2カ月ぶりにロックダウン(都市封鎖)を一部緩和し、経済活動再開に向かいましたが、11日には、『感染再拡大』による景気回復の遅れを懸念し米国株式市場は史上4番目となる大幅な下落となりました。新型コロナの有力な治療薬やワクチンがない中、今後も金融市場は経済活動再開期待とロックダウン解除による『感染再拡大』懸念の狭間での動きとなりそうです。

【ポイント1】進むロックダウン緩和と一部に景気回復の兆し

 世界各国・地域は、新型コロナ感染抑制のために導入したロックダウンを徐々に緩和し、経済活動を再開してきました。感染収束にいち早くめどをつけた中国が4月8日に武漢市の封鎖措置を解除したのを皮切りに、ドイツは4月20日以降、日本は5月7日以降、フランスは5月11日以降、順次外出規制を緩和しました。さらに、新規感染の抑制に手間取ったイギリスは5月13日以降緩和に向かい、米国ではテキサス州が4月24日以降、カリフォルニア州が5月8日以降、外出規制の緩和に向かい、20日までには全50州でロックダウンが一部緩和されました。

 これらロックダウン緩和による経済活動再開を受け、足元では一部に景気の底入れの兆しを示す経済指標もみられるようになってきました。また、このような経済活動再開による景気回復期待から、主要株式市場では3月後半を底として、順調に株価が上昇してきました。

【ポイント2】一方、『感染再拡大』に対する懸念も

 新型コロナの感染状況を見ると、南米各国やロシアなど新興国を中心に感染拡大が続いていることから、収束にはめどが立っていません。

 また、米国では、当初感染の中心だったニューヨーク州などでは感染者数が減少していますが、人口や経済規模の大きいカリフォルニア州やテキサス州、フロリダ州では経済再開後の感染者数の増加が目立ち、全米ではほぼ横ばいでの推移となっています。

 世界最大の経済大国である米国で感染が再拡大すれば、グローバル経済に大きな影響を与えることとなり、懸念が高まっています。

【今後の展開】引き続き、新型コロナの感染状況に左右される展開

 3月後半以降、新型コロナ感染収束→ロックダウン解除・経済活動再開→景気回復の好循環から株式市場を中心にリスク資産価格が順調に回復してきましたが、ここにきて感染収束遅滞・再拡大→経済活動停滞→景気回復遅滞の悪循環が意識されるようになりました。新型コロナの有力な治療薬やワクチンがない中、今後も、金融市場は新型コロナの感染と経済再開の状況を確認するような動きが想定されます。