三菱UFJの収益力は正しく理解されていない
三菱UFJの2020年3月期の決算を改めてレビューします。連結純利益は前期比39.5%減の5,281億円でした。続く今期(21年3月期)の純利益について、同社は5,500億円を目標としています。
「銀行の収益悪化が止まらない」と、メディアにはネガティブなコメントが広がっています。私は、決算内容を見て、安定的に高収益を稼ぐ力を示した良い決算だったと思いましたが、市場はネガティブに反応しました。
三菱UFJの収益力や財務内容は、株式市場で正しく理解されていないと思っています。それが、同社の「極端に割安な」株価指標に表れています。6月10日時点で、同社株のPERは11倍です。東証一部全体の平均(約23倍)と比べて、大幅に低い評価です。三菱UFJは2019年3月期までの6年間、金利が大きく低下する中でも、安定的に8,000億円~1兆円の純利益を稼ぎ続けてきました。
コロナ・ショックの影響などを受けて、前期(20年3月期)と今期(21年3月期)の純利益は5,000億円台に落ち込む見込みですが、これだけの危機でも、高水準の利益をあげる力があると言えます。安定高収益を稼ぐ力を示しているのに、株価はあまりに低い評価と思います。