クロス円の際立った上昇

 このように第3ロケットエンジンに点火してドル/円は107円台から109円台に上昇しましたが、この為替相場を引っ張ったのはクロス円(*)の上昇でした。

*クロス円:ドル以外の通貨との対円レートのこと。ユーロ/円やポンド/円などの総称。クロス円の上昇は、ドル以外の通貨高(ドル安)と円安の組み合わせのため、「ドル安・円安」地合いではクロス円は上昇しやすくなる。逆に「ドル高・円高」の地合いではクロス円は下落しやすくなる。

 先週5日はドル高となりましたが、それまでの相場の地合いは株価上昇に支えられた「ドル安・円安」の地合いが続いていました。ここでは、ドル/円はドル安によるドル売りと、クロス円の買いとの綱引きによって主体性のない動きをしていました。しかし、結果的にクロス円の買い圧力に引っ張られ、下値を切り上げ1ドル=109円台後半まで上昇を続けたという構図になりました。

 先週のユーロ/円は週間値幅で約5円、終値ベースでも前週比約4円の円安で、5月後半にEU(欧州連合)復興基金創設の話が出てからユーロは動意付き、ユーロ/円も上昇し始めています。上昇する前は1ユーロ=115円台でしたから、先週の124円台まで約9円近く上昇したことになります。

 その他のクロス円も先週は際立って上昇しています。原油上昇に支えられた資源国通貨である豪ドル/円は5円超の週間値幅、EUとの離脱交渉進展期待が高まったポンド/円に至っては7円超の週間値幅となっています。

 これらクロス円の上昇に比べると、先週のドル/円の週間値幅は約2円50銭と、クロス円の値幅の半分以下でした。クロス円に焦点を当てると、3週連続の「円」全面安となっていました。