4 伊藤忠商事(8001・東証1部)

▼どんな銘柄?
 総合商社大手の一角で、業界内では繊維や食料品事業に強いとされています。

 小売事業ではコンビニ業界大手のファミリーマートを傘下に抱えています。その他、「スカパー」「Dole」「evian」「ほけんの窓口」「プリマハム」など生活消費関連ビジネスの割合が高いことが特徴です。

 中国最大のコングロマリットであるCITICグループと戦略的業務・資本提携を行うなど、中国ビジネスの強さも強調点になります。

▼業績見通し
 2020年3月期純利益は5,013億円で前期比0.2%増益、一過性要因を除いたベースでみても、同業他社比で好調な決算となっています。

 2021年3月期は4,000億円で同20.2%減益、資源分野の市況の影響がマイナスに響く他、新型コロナの影響を400億円程度想定しています。500億円程度のバッファーを見込んでいるので、上振れの余地もあるといえます。

 また、期初の段階から、年間配当金は3円の増配計画としています。

▼ここがポイント
 世界的に景気の先行き不透明感が拭い去れない中、総合商社内では、生活消費関連ビジネスでの強みが活かされる局面と考えられます。セクター内での選別物色の対象になり得るとして注目できるでしょう。

 増配計画を示したことで、安心感のあるバリュー銘柄とも位置付けられます。

 注目点は、昨年6月に発表した自社株買いの行方です。上限700億円ですが、5月末まで取得はゼロとなっています。今後買い付けが実行されるようなら、株主還元後退懸念が晴れるため、株価材料となってきます。

5 三和HD(5929・東証1部)

▼どんな銘柄?
 重量・軽量シャッターの国内トップ企業です。軽量シャッターの国内シェアは50%を超える水準です。積極的なM&A(企業の合併・買収)展開によって海外市場の拡大もこれまで進めています。

 サービス分野の強化、アジア事業の基盤拡充などに注力しています。2020年3月期にかけて連続での増配を続けています。

▼業績見通し
 2020年3月期営業利益は342億円で前期比8.3%増益となっています。販売価格の値戻しや新規連結化効果などが寄与しました。

 一方、2021年3月期は220億円で同35.7%の大幅減益見通しとしています。日本や米国における数量減のマイナス影響を反映しているようです。

 ただ、計画している上期と下期の減収率に違いがなく、新型コロナ収束による下半期の回復ペースは速まる可能性があるでしょう。年間配当金計画は前期水準を据え置いています。

▼ここがポイント
 業績上振れ期待の高まりに伴う連続増配継続の可能性が注目材料となります。利益率が高いとみられるメンテサービスの回復次第では十分に可能性があるでしょう。

 また、財務基盤が強固であることから、新型コロナの収束確認後は株主還元策への期待も高まりそうです。シャッターのトップ企業として、抗菌性、非接触性などの新製品開発の動向も注目されます。