3つの馬券戦略
米国では投資理論の専門家が、競馬を研究した例があり、論文が残っている。ウィリアム・ツィエンバという学者が、米国の競馬について調べたもので、具体的な競馬の戦略が3つほど紹介されている(詳しくは、リチャード・セイラー著『セイラー教授の行動経済学入門』篠原勝訳、ダイヤモンド社を参照)。
3つの馬券戦略は、具体的には以下の事実に注目したものだ。
- 1番人気馬が2着になる連勝単式馬券の投資回収率がいい
- ごく低いオッズの馬券(たとえば単勝式で1.5倍というような馬券)の投資回収率がいい
- 最終レースで低倍率の馬券の投資回収率が特にいい
これらは、いずれについても、株式投資で発想ないしは雰囲気が似た戦略がある。
2番手銘柄への投資
まず、「1番人気馬が2着」という状態のイメージのしづらさは、何らかの業種がブームになったときに、業種の一番手企業ではなく、二番手企業に投資するような戦略に感じが似ている。どうしても業種や投資テーマの代表銘柄に注目が集まりがちだが、後から上昇「率」で見ると、二番手以下の銘柄が勝っていたというケースは少なくない。
近年は外国人主導で時価総額の大きな銘柄が全体として上下するような大味な相場展開が多く、何らかの「投資テーマ」に基づいた銘柄グループに注目が集中するようなケースが少ないが、それでも、テーマに関する投資を考える場合、二番手、三番手の銘柄への投資は考えてみる価値がある。ファンドマネジャーの場合は、数銘柄全部買っておくことが正解になる場合が多いが、個人の場合、代表銘柄と二番手以下の銘柄とを個別に比較する必要が生じる場合が多いだろうから、ある意味では、個人の株式投資の方が難しいといえる。