投資方針が変わらない理由

 投資方針が変わらない理由は、以下の二点だ。

(1)現在の株価には、市場参加者全体の将来の見通しとリスク・プレミアムが反映しているから
(2)個人なり会社なりが、市場参加者全体の見通しを凌駕できる見通しを持てるわけではないから

 市場参加者全体の見通しが、常に正確なわけではないが、株価はその見通しを反映して形成されているので、「その見通しを一応妥当だとするなら」、リスク・プレミアムが変わらない限り、高い株価の時に投資しても、低い株価の時に投資しても、有利不利の差はない理屈だ。

 それでは、この前提条件の「その見通しを一応妥当だとするなら」を否定できるかというと、思い込むのは個人や会社の勝手だが、それは困難だし、振り返ってみると、その困難さは「コロナ前」も同じだったと気づく。

「投資はリスク・プレミアムのコレクション(蒐集:しゅうしゅう)だ」という基本原理に返ると、「今の株価」を否定できる根拠がないなら、リスク・プレミアムを集めるべく、市場にお金を投じておくべきだという結論になる。

 投資家にとって、コロナはいきなり生じた不運だったが、持っているリスクの大きさが適切であり、リスクの持ち方が適切である限り、コロナの前・中・後で、投資方針を変えなくていい場合が多いことが分かるだろう。