攻めの高配当利回り株5銘柄

 最近、株式市場で、景気敏感株の一部を買い戻す動きが出つつあります。たとえば、半導体関連株がそうです。

 コロナ不況で、世界中で、リモートワーク(在宅勤務)、リモート会議、巣ごもり消費が拡大している影響で、ネットを経由した経済活動が一段と活発になっています。それに伴い、自宅で使う高性能PC需要が拡大しています。その中核部品として、半導体の需要が回復しつつあります。また、これから始まる5G(第5世代移動体通信)が本格普及すれば、ネットを通じてのデータのやり取りが一段と拡大し、半導体の需要がさらに伸びます。

 コロナ・ショックで一時的に半導体産業の生産活動も停滞しましたが、ショックが一巡すれば、最初に、半導体産業の業績が回復してくると期待されます。信越化学工業(4063)東京エレクトロン(8035)などが有望と考えています。

 中国関連株にも、少しずつ動きが出てきています。中国で感染が終息に向かっている可能性があり、中国での生産活動再開が視野に入ってきたことによります。今週、急騰したファナック(6954)などが有望と考えています。

 ただ、今あげた銘柄は、配当利回りがさほど高くありません。今日は、景気敏感株の中でも、予想配当利回り4%以上のものから、投資の参考銘柄を選びました。世界景気悪化を嫌気して株価が下落している景気敏感株の中から、私が割安と考えるものを選びました。

攻めの高配当利回り5銘柄:2020年4月28日時点

コード 銘柄名 主要事業 配当
利回り
最低
投資額
5020 JXTG HD 石油精製 5.9 37,520
5108 ブリヂストン タイヤ 4.8 333,400
8031 三井物産 総合商社 5.4 148,300
8306 三菱UFJ FG 銀行 5.9 42,510
8591 オリックス リース 6.2 123,200
単位:【配当利回り:%】【最低投資額:円】
出所:配当利回りは、1株当たり年間配当金(会社予想)を4月28日株価で割って算出。ブリヂストンは2020年12月期、他は2020年3月期の配当金予想。最低投資額は、4月28日終値で最低投資単位100株を買うのに必要な金額。大手銀行はこれまでディフェンシブ業種に入れてきたが、景気の影響を受けやすくなってきたため、景気敏感株に分類

 JXTG HDは、2020年3月期の最終損益が、3,000億円の赤字に転落する見込みです。ただし、それは一時的な損失と考えています。原油急落にともなって在庫評価損が2,500億円発生したと見込んでいます。石油精製会社は70日の原油備蓄義務を負っています。原油が急落すると、石油製品の販売価格は大きく下がりますが、高値で仕入れた原料が残っているために、在庫評価損が発生します。これは原油が急落した時だけに発生する一時的な損失です。今後、原油が横ばいになれば、在庫評価損は出なくなります。原油価格が上昇に転じれば、在庫評価益が発生します。

 ところで、投資家の中には、高配当利回り株に投資する際、「予想配当利回りが高ければ高いほど良い」と考えて、機械的に予想配当利回りが一番高い銘柄を選ぶ方もいます。それは、あまりよい選び方ではありません。配当利回りは、確定利回りでないからです。利回りの高い銘柄には、将来、減配になるリスクが織り込まれていると考えるべきです。

 上に挙げた高配当株は、「比較的、安定的に配当が得られる」と私が期待する銘柄です。ただし、個々の銘柄にはいろいろなリスクがあり、将来減配になる可能性が無いとは言えません。予想配当利回りが一番高い銘柄に集中投資するのではなく、なるべく多くの銘柄に分散投資した方が良いと思います。景気敏感株とディフェンシブ株にも分散したほうが良いし、さまざまな業種にも分散投資した方が良いと思います。