配当の仕組み
その前に、株式配当というものがどういうふうに決まるのかを説明します。
企業が商品やサービスを販売して得た売上高から、もろもろのコストを差し引いた残りが純利益です。その純利益は「雨の日」に備える意味で会社の中に留保として蓄えておくことができます。あるいは一部を株主に還元することもできます。
後者の場合、それは株主に対し「ありがとう!」という感謝の気持ちを、現金で払い出すことによって示しているわけです。これが配当です。
利益から配当に回す割合が、配当性向
それでは一体、利益のいくらを配当に回す? この割合のことを配当性向といい、パーセンテージで表します。
配当性向には「こうでなくてはいけない」という決まりはありません。ただ一般に配当を出し始めて、いまだ何年も経ってない比較的若い企業の場合、配当性向は低く、老舗の、地位が確立した企業の場合、配当性向は高いです。
また、配当性向は業種によっても大きく異なります。
売り上げや利益が安定的に見込める産業の場合、一般に配当性向は高いのです。具体的な例として電力会社のような公益事業の場合、毎年安定した売り上げが見込まれます。そのような業種は低成長、もしくは無成長の産業である場合が多く、投資家を呼び込むためには高い配当利回りを提示する必要があります。そのような業種ではおのずと配当性向が高くなります。
それと対照的に、資本財などの景気に左右されやすい業種の場合、毎年の業績の浮き沈みが激しいので、配当性向をあまり高く設定し過ぎると、翌年、業績が悪くなったとき、減配を強いられるリスクがあります。
一般に減配は「とても悪いニュース!」と受け止められることが多く、経営者はなんとしてでも減配を避けなければいけません。つまり保守的な経営者はあまり性急に配当性向を引き上げないということです。
配当性向が低過ぎるのは経営者の努力が足りないという叱責の対象になりますが、かといって「高ければ高いほうがいい」という性質のものではないのです。むしろ、毎年無理なく楽勝で配当を継続できるような水準か? という点が重要だと思います。
高過ぎる配当利回りは減配・倒産リスクをはらむ
1株年間配当を株価で割り算し、それを100倍すれば配当利回りが求められます。
配当利回りは高いに越したことはないけれど、高すぎる配当利回りは減配リスクや倒産リスクをはらんでいます。
私のザックリとした目安としては、配当利回りで8%を超えるようなケースは倒産リスクを織り込んだ株だと言えます。そのような高過ぎる配当利回りとなっている株は敬遠してください。
むしろ配当利回りで3%から5%くらいの株が、リスク・リワード的にはいちばん魅力あるスイート・スポットのように思います。
それでは具体的に銘柄を見ることにしましょう。