今後、投資の世界はどうなるのか

西河 トレードの世界にAI(人工知能)が導入され始め、トレーダーが減っているといわれています。AIは投資家には脅威ですか。

山崎 AIは疲れることなく24時間ルール通りにトレードするし、ミスをすることもない。しかも速い。そのため、ポジションをとるトレーダーは減っています。でも個人投資家がAIの影響を受けるかというと、それは違う。

 AIは取引の流れのマイクロセコンドくらい前にいて、ちょこっともうけるという作業を延々と繰り返しているだけだから、もしかしたら個人投資家は何ベーシス(1ベーシスポイントは0.01%)かは損をするかもしれないけど、10年20年という長期投資の期間でいうと関係ないし、ポートフォリオを組んでリスクプレミアムを集めていくことに関しては変わることはないと思う。

 ただし、しょっちゅう売り買いをして利益を積み重ねていくプレースタイルのゲームプランはうまくいきにくくなるけどね。

――最後に、山崎さんから後輩たちへ投資のアドバイスをお願いします。

山崎 毎日のニュースを漠然と見るのと、ニュースが株価にどれくらいの影響を与えたかと考えながら見るのとでは、まったく違う。そこで、NYダウと日経平均と為替レートと長期金利くらいは毎日見て、なぜそうなったのかを考えて欲しい。

「日銀総裁があんな発言をしたから、金利が下がって、株価が下がって、円安になったんだ。次はどうなるんだろう。続けて上がることがあるかな、ないのかな」。そんなふうに考える習慣をつけると、ニュースを見ると自動的に脳に経済のスイッチが入るようになるので、ぜひ実践してください。

 それから学生という身分のうちは、人的投資から得るリターンが一番高いはずなので、自分に対する教育投資を一生懸命やって欲しい。一方で、「Agents」に参加して分かったと思うけれど、投資をするとお金が働いてくれるので、リスクプレミアムを長期間にわたって集める戦略で、将来のためのお金を作って欲しい。若いから、集める時間がたっぷりあるからね。

お話を聞かせてくれた投資サークルAgentsのメンバー