オフィスREITをコアに、レジデンシャル・物流・リテールREITに分散投資
REIT代表銘柄の分配金利回りをご覧いただくと、3%台から10%以上まで、幅広く分散していることがわかります。このような表を見ると、利回りの高いものほど有望で、利回りが相対的に低いものが魅力がないと考える方もいますが、そうではないことを強調しておきたいと思います。
一般的に、利回りが高いファンドほど、将来、分配金が引き下げられるリスクが高く、利回りが低いファンドほど、分配金が引き下げられるリスクが低いと言えます。十分な投資資金があるならば、利回りが高いファンドと低いファンドに、分散投資することが望ましいと思います。
REITに投資する場合、オフィスREITをコア(中核)として、望ましくは、レジデンシャル(住宅マンション)・物流・リテール(商業施設)REITに分散投資すべきと考えています。ホテルREITは、目先、投資を見合わせた方が良いかもしれません。
REIT種別の投資方針を以下に記載します。
◆オフィスREIT
利回りが相対的に低くても、分配金の安定性で評価できるのが、オフィスREITです。このレポートで紹介している3つのオフィスREIT(日本ビルファンド・ジャパンリアルエステイト・森ヒルズリート)は、いずれも都心の一等地のオフィスビルに投資するファンドで、REIT投資のコアとして保有するのに適格と考えています。
日本ビルファンドは、三井不動産が運営する看板ファンドで、ジャパンリアルエステイトは、三菱地所が運営する看板ファンドです。森ヒルズリートは、森ビルの看板ファンドです。分配金利回りは、東証REITの平均分配金利回り、約5%より低いものの、長期投資のコアとして投資するに適格と判断しています。
不動産の利回りは、都心一等地が低く、地方にいくほど高くなります。都心のビルは、テナントが退出しても、立地が良く競争力があるので、すぐに代わりのテナントが入ります。
ところが、地方都市のビルは、テナントが退出すると簡単には代わりのテナントが見つかりません。このため、賃貸料の引き下げ圧力が働きやすくなります。そうしたリスクを織り込んで価格がつくため、地方の不動産は相対的に利回りが高くなります。利回りが高いほど魅力的とはいえません。
◆レジデンシャル(住宅・マンション)REIT
マンション市況にやや過熱感があることに注意が必要です。ただし、住宅・マンションは固定賃料が多く、短期的にはコロナショックの影響を受けにくいと言えます。
◆物流REIT
新型コロナ感染対策で一時的にコストがかさんで業績が弱含むリスクがあります。それでも、中長期にEコマース拡大による需要増の恩恵を受けるので、投資対象として有望と考えています。
◆リテール(商業施設)REIT
短期的にテナントの売上低下で、変動賃料が低下するリスクがあります。ただし、中長期的に、競争力の高い商業施設のテナント収入は安定的と考えています。
◆ホテル(ホテル・リゾート施設)REIT
外国人観光客の減少による業績の悪化が大きく、分配金の引き下げがほぼ確実と予想されますので、今は投資を見合わせた方が良いかもしれません。ただし、それを織り込んで既にREIT価格が大きく下がっていますので、分散投資として保有するならば、問題ないとの考え方もあります。
個別銘柄を選ぶのが大変な人は、東証REIT指数インデックスファンドへの投資が便利
今、REITに投資するならば、オフィスREITをコアとして、住宅マンション・物流施設・商業施設などに、分散投資すべきと思います。ただし、複数銘柄に分散投資するのには、まとまった投資資金が必要です。
小口資金で投資を始めたい方には、投資信託が便利です。ファンドによりますが、数万円単位から投資ができ、かつ、複数銘柄への分散投資ができます。とりあえず、東証REIT指数に連動するように設計されているインデックスファンドに投資するのも良いと思います。