不動産への小口投資を可能にしたREIT
REITの仕組みをご存知ない方もいらっしゃると思いますので、基礎的なことを説明します。REITは、不動産への小口投資を可能にした投資商品です。
個人投資家が不動産に投資する場合、ワンルームマンションからアパート1棟までさまざまな投資対象がありますが、資金規模からおのずと直接投資できる対象は限られます。
REITを通じて投資すれば、都心一等地の大型ビルに投資することもできます(図A)。
<図A>REITを通じて大型物件に投資
一等地の大型ビルにテナントが集中し、競争力のないビルからテナントが流出する「不動産の二極化」が顕著にみられる時代になりました。投資するならば、一等地の大型ビルに投資したいと考えます。
ところが、REITが普及するまでは、一等地の大型ビルに投資するには何百億円という規模の資金が必要でした。個人投資家の不動産投資では、小口で投資できるマンションなどが中心になり、大型ビルへの投資は困難でした。
REITの普及によって、状況が変わりました。今では、小口資金でも、REITを通じて、大型ビルに投資することもできるようになりました。REITは、証券取引所に上場されていて、一般の株式と同じように売り買いすることができます。最低売買単位での投資額は、10万円以下から100万円超までいろいろあります。
REITには、さまざまな種類がある
REITには、さまざまな種類があります。もともとは、不動産に投資するファンドだったのですが、近年は、利回りが稼げるさまざまなものに投資されています。純粋な不動産投資と言えないものも増えています。代表的な種類とファンドは、以下の通りです。
<REIT種別と代表的ファンド、分配金利回りは3月24日時点の会社予想ベース>
この表を見る際に、1つ、重要な注意事項があります。分配金利回りは、あくまでも3月24日時点の会社予想ベースということです。これには、まだ、新型コロナウイルスによる業績への悪影響が反映されていません。
今後、新型コロナの影響による業績落ち込みで、分配金を引き下げるファンドが増える可能性があります。特に、ホテル・リゾート施設に投資するREIT、インヴィンシブル投資法人とジャパン・ホテル・リート投資法人は、新型コロナによるダメージが大きく、分配金が引き下げられるのは、ほぼ確実と考えています。
したがって、分配金が引き下げられる前の、分配金利回りが11~14%に達していますが、信頼性が低いと考えます。