もったいない金融政策

 ニューヨーク株式市場は、連日、過去最大の下落や過去最大の上昇が続いています。まるでピンポン玉のように相場が踊っている状況を見ると、ニューヨーク株式市場は相当、流動性が乏しくなってきているのではないかと疑いたくなるようなマーケットになっているのかもしれません。

 このような大波乱の相場を受けて、日米欧の政府も中央銀行も動きました。

 13日(金)のトランプ米大統領の国家非常事態宣言に続き、15日(日)にはFRB(米連邦準備制度理事会)がゼロ金利への緊急利下げ、そして16日(月)には日本銀行の金融政策委員会が前倒しで開催。同日、日米欧の6つの中央銀行は金融市場へのドル供給を拡充すると発表しました。

 日米欧の協調金融緩和や財政発動と矢継ぎ早の政策が決定されました。

 マーケットの期待が大きかったことから仕方がないという面もありましたが、これで金融政策のカードは使い切った形となりました。相場がこの先も乱高下を繰り返しても切るカードはありません。FRBはマイナス金利を行わないと明言しています。一方、日本はマイナス金利の深堀りを示唆していますが、これまでの副作用を勘案し、慎重にならざるを得ない状況です。欧州もマイナス金利の深堀りは難しい状況です。

 金融政策では資金繰り支援はできても景気を押し上げることは難しい状況となっています。従って、3月3日のFRBの緊急利下げの時も、今回のFRBのゼロ金利決定も株安を止めることはできませんでした。

 財政政策への期待は高まりますが、財政政策を発動し、需要喚起を狙ってもヒト、モノが動かない状況では需要も出てこないため、効果を期待できません。移動制限によって消費は停滞し、労働者は工場へ行けないため生産が停滞します。需要、供給とも財政で刺激することは、今の段階では相当難しい状況となってきました。