2.本格反発のタイミングは

 問題は、現時点ではどれほどの経済ダメージが起きているのか、これから起こるのか、見えないことです。株式市場は、先が見えないことを嫌います。

 したがって今後は、毎週発表される新規失業保険申請件数などをヒントにしようとする動きになるでしょう。もし失業者が増えていけば、本格的なリセッションが意識されます。 

 ただし、各国政府が、今後、一段と踏み込んだ救済策を打ち出すことに成功すれば、経済の傷口が広がるのを防げます。

 こうした背景を考慮すると、米国株式市場が本格的に反発するタイミングは、「新型コロナウイルス及び原油価格急落の影響がある程度把握できるようになり、それに対する効果的な対策が打ち出されたタイミング」、さらに、「対策などの効果で経済悪化の影響度合いが改善してきたタイミング」と考えられます。

 それまでは、投機的な買いや売りで市場のボラティリティーが高い状態が続きそうです。

3.物色される高配当ETFにはパフォーマンスの差がある

 本格的な反発時のために、次に投資するタイミングを狙っている投資家も多いと思います。その中でも、金利が低下する中、高配当銘柄が物色される流れが予想されます。高配当銘柄に個別で投資するのも良いですが、こういう相場では、銘柄分散ができるETF(上場投資信託)を保有するのも一つの方法だと思います。

高配当ETFの例

ティッカー 銘柄名 分配金
利回り
経費率
SPYD SPDR ポートフォリオS&P 500 高配当株式ETF 6.25 0.07
DHS ウィズダムツリー 米国株 高配当ファンド 4.98 0.38
DEW ウィズダムツリー 世界株 高配当ファンド 5.00 0.58
VYM バンガード・米国高配当株式ETF 3.69 0.06
HDV iシェアーズ コア米国高配当株 ETF 4.21 0.08
SDY SPDR S&P 米国高配当株式 ETF 3.07 0.35
出所:各種資料より楽天証券作成
※分配金利回りは2020年3月13日時点のもの(分配金は過去1年の実績ベース)

 利回りに目が行きがちな高配当ETFですが、長期保有の場合、経費率もポイントになります。さらに、構成銘柄などの違いによってパフォーマンスにも差が出ています。

高配当ETFの株価推移(2019年12月末を100とした場合)(2020年3月12日まで)

出所:ブルームバーグより楽天証券作成