もし損の出ているポジションを持っていて不快なら、答えは簡単だ。手じまうだけだ。

 筆者は相場に迷った時、いつもチューダーの言葉をかみしめている。以下はポール・チューダーの言葉だ。

「自分はうまいなどと思ってはいけない。そう思った瞬間に破滅が待っている」

「ナンピンをしないこと。トレードがうまくいかないときは枚数を減らすこと。うまくいっているときには枚数を増やすこと。コントロールができないような局面では決してトレードしないこと。例えば、私は重要な発表の前には多くの資金をリスクにさらすようなことはしない。それはトレードではなくギャンブルだからだ」

「もし損の出ているポジションを持っていて不快なら、答えは簡単だ。手じまうだけだ。いつでも相場に戻ってこられるのだから。新鮮な気持ちでスタートを切るのに勝るものはない」

「史上最高の投資家、ジェシー・リバモアは長期的には相場では決して勝てないと言ったと伝えられている。相場に決して勝てないという考え方は驚くべき見方だ。だからこそ私の哲学は巧みな防御なのだ。自分が超人的な洞察力を持っているなどと思ってはいけない。常に自信を持っていなくてはならないが、注意を怠ってはいけない」

 出所:『マーケットの魔術師 米トップトレーダーが語る成功の秘訣』 ジャック・D.シュワッガー(パンローリング)

「最後の買い手になってはいけない」と、筆者はこのモラルハザードバブル相場に早くから警鐘を鳴らしてきた。人々の多くは、結局、バブル崩壊に巻き込まれて大損して終わることになる。それが市場の基本原理である。バブル相場は足抜けできない。「押し目買い」という過去の成功体験が仇となって、相場が天井を打っても相場から降りられないからである。

「今回は、ミンスキーですら考えてもみなかった大ブームを生み出しました。きわめて高いリスクの資産に投資した人たちの相当数は、自分たちがどんなに野放図なことをしているのか軽率にも考えてみなかったのです。自分は安全圏にいると思っていた彼らの多くは、実は、とんでもない投機かねずみ講金融の仲間になっていたことに気がついて、大いに驚いたというわけです」(2009年4月『ミンスキー・メルトダウン-中央銀行家の教訓』サンフランシスコ連銀総裁ジャネット・イエレンの発言)