利下げ効果なし?

 FRBが利下げをしたにもかかわらずNYダウが下落した理由は、材料出尽くしの他に、新型コロナウイルス感染拡大の影響を利下げで対応できるのかという、不安もあったようです。では、利下げしても株は下げ止まらず、ドル/円もどんどん円高が進むのでしょうか。今後の見方として、以下の3つのポイントを注目したいと思います。

1:さらに緊急の追加利下げのシナリオも?

 パウエルFRB議長は記者会見で「新型コロナウイルスの感染拡大は新たなリスクだ。米経済の見通しに影響を与えている」と警戒感を示し、FOMC声明文では「米経済は力強いが景気見通しへの影響を注視し、経済を支えるために適切の行動する」と追加緩和を示唆する表現を使っています。従って、3月17~18日のFOMCでも追加利下げのシナリオを想定しておく必要がありそうです。また、3月に利下げがなくても4月や6月に利下げ、あるいは2回目の緊急利下げも想定しておいた方がよさそうです。

2:G7の財政政策は?

 新型コロナウイルス感染拡大の影響はヒト、モノ、カネが動かなくなった需要縮小です。リーマン・ショックのような金融危機ではないため、利下げは効果があるのかという見方もありますが、G7各国は電話会議で「すべての適切な政策を取る用意がある」と確認しているため、今後、各国が金融政策だけでなく財政政策を含めたあらゆる政策を取ってくる可能性が高いと見た方がよさそうです。

 FRBの緊急利下げは、G7が動いたということを象徴する出来事であり、今後、株が急落した場合もG7が動くのではないかという抑止力になることが予想されます。

3:ドル安圧力続くか?

 G7の政策対応によって株価急落や激しい上下動がなくなれば、ドル/円の円高も止まってくるかもしれません。しかし今回、日欧の利下げ余地が制約されていたため協調利下げができずFRBの単独行動になったことは、今後もFRBの利下げのみが進む可能性が高く、ドル安圧力が続くものと予想されます。従って、ドル/円は、株が戻しても戻りは鈍いことが予想されます。