チームの競争は苛烈。でも大事なのは困った時に伸びてくる若手の存在
今年のイーグルスは、先発ローテーションを誰もが簡単に名前を挙げられてしまうほど、層の厚さが特徴です。かつて西武の投手王国を支えた岸、涌井、牧田に加え、キャンプ中にナックルカーブを習得した則本昂大、さらにクローザーから先発転向する松井裕樹に、昨年岸・則本のWエースが抜けた穴を埋めるべく9勝した辛島航などがいます。
セットアッパー、クローザー候補も12球団屈指の安定感です。「今シーズンはクローザーに挑戦したい」と守護神に名乗りを挙げている森原康平は昨年64登板で4勝29ホールド。ブセニッツは昨年54登板で4勝28ホールド、青山浩二は昨年62登板で2勝16ホールドでした。さらに石井一久GMが、メジャーでの古巣であるドジャースからシャギワを獲得。ストレートとスライダーがさえる右腕と評判で、守護神候補とも言われています。
一方、浅村栄斗を中心とした打撃陣を見ていくと、昨年は浅村と銀次とブラッシュがチーム内打撃リーダーの各部門を見事に分け合う状況でした。
そこに内野ユーティリティの鈴木大地が加入し、打撃好調の茂木栄五郎がいて、さらに走攻守全てそろうドラフト1位の小深田大翔が虎視眈々とショート、セカンドの位置を狙っています。
外野も、島内宏明、辰己涼介、田中和基、ブラッシュがいつでも入れ替え可能な状況に。複数ポジションを守れる選手が多く、内外野ともに競争が熾烈を極めています。まず出塁できることが必須条件です。
ここに2月19日のヤクルトとの練習試合で活躍した山﨑剛らレギュラーを狙う若手が、途中出場でも監督の掲げる機動力野球のピースとして上手くハマれば、さらにチーム力はアップします。
皆がけがなく一年間プレーできれば優勝は堅いですが、そうもいかないのが勝負の世界。誰かが離脱した時に、スッとそのポジションに入れる若手の底上げが必要なのです。山﨑は「自分のアピールポイントは足なので、機動力、小技をしっかりやっていきたいです」とコメント。自らの役割をしっかりと認識しています。
昨年はイースタン・リーグ優勝に導き、若手の指導に長けた三木監督。「イーグルスの良さはチームワーク。まだまだ成長できるチームです」と語ります。大幅な血の入れ替えを行い、一新したイーグルスのタクトをどのように振っていくのでしょうか。選手のことをまず第一に考える監督は、「試合を重ねながら、私も選手も一緒に成長し、最終的にはリーグ優勝という目標を達成できるよう、チーム一丸となって戦っていきたいです」と語りました。
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執筆者:横山 由希路
フリーランスライター・編集者
ぴあ株式会社での情報誌編集・執筆業を経て、フリーランスとして独立。スポーツ、演劇などのエンターテインメント、ビジネス分野のほか、「週刊『SPA!』」「YEN SPA!」などでやわらかマネー記事も執筆する。「東洋経済オンライン」などで介護記事も。広瀬宏之「『ウチの子、発達障害かも?』と思ったら最初に読む本」(永岡書店)で一冊構成。