2017~2020年の日経平均急落局面の分析

 続いて、アベノミクス後半4年の日経平均急落局面を振り返ります。

日経平均の動き:2017年初~2020年3月2日

出所:楽天証券経済研究所

 急落局面が3回あります。

【5】2018年2月:米金利上昇ショック(日経平均下落率▲15%)

 2月2日に発表された1月の米雇用統計で、平均時給が前年比2.9%と大きく上昇していたことがインフレ加速の兆しとみなされ、米長期金利が一時2.85%と、4年ぶりの水準まで上昇しました。米長期金利上昇を嫌気して、NYダウ平均株価が急落、世界株安に連鎖しました。米FRB(連邦準備理事会)が当時タカ派スタンスで利上げ継続を示唆していたことも嫌気されました。実際、米FRBは、2018年に4回の利上げを実施しました。

 米中貿易戦争がエスカレートする懸念が強まっていたことも、不安材料となりました。ただし、2018年前半、世界景気はまだ好調であったため、米長期金利が反落すると、世界的に株が急反発しました。

【6】2018年10月~12月:世界景気悪化ショック(日経平均下落率▲21%)

 10月に入り、米長期金利が一時3.2%まで上昇したことを嫌気して、米国株が急落しました。米長期金利はすぐ低下に向かいましたが、10月以降、中国を中心に世界景気の悪化が鮮明となってきたことが嫌気され、世界的な株安連鎖が起こりました。米中貿易戦争がエスカレートする不安も、株安要因となりました。

【7】2020年1~2月:新型コロナウイルス・ショック(日経平均下落率:2月末時点で▲12%)

 新型コロナウイルスの感染が世界に拡大し、世界景気が悪化する懸念で、世界株安が起こっています。

 以上が、アベノミクスが開始した2013年以降の、7回の日経平均急落局面のレビューです。