債券と比べると米国株は割高とは言いにくい

 2000年初めの「ITバブル時」にはS&P500指数の予想PERが25-26倍に拡大した一方、長期金利は6.7%まで上昇。当時の益利回りスプレッドは+2.8%まで上昇し「株式は債券と比較してかつてないほど割高」となりました。その結果、株式が弱気相場(ITバブル崩壊)を迎えた経緯があります。

 現在の予想PER(19.3倍)の逆数である益利回りは約5.2%で、長期金利(約1.58%)との差は-3.6%となっています(2月14日)。1992年以降の益利回りスプレッドの平均(-2.1%)と比較すると、「債券と比較して米国株は割高」とは言いにくい状況です。インフレ期待と金利が低位で推移するなか、業績見通しが今後回復すると想定するなら、株価に上昇余地が見込めそうです。

 参考までに、S&P500指数ベースの12カ月先予想EPSは前年同期比で+15.8%の増益見通しとなっています。短期的な株価変動を交えつつ、米国株が本年も堅調に推移すれば、新型肺炎とその影響一巡を待ちつつ、日本株の回復傾向にも追い風となりそうです。

図表5:益利回りスプレッドの高低で米国株の水準を分析する

 *上記は参考情報であり、将来の投資成果を保証するものではありません。 出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(1992/1/1-2020/2/14)


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