トランプ大統領が名付けた「MAGA相場」

 米国市場では、今週もS&P500指数、ナスダック総合指数、フィラデルフィア半導体株指数などが最高値を更新しました(19日)。米国株が堅調に推移している背景として、大手IT関連株(時価総額が大きい主力ハイテク株)の株価堅調が挙げられます。そうした大手IT関連株は、銘柄の頭文字をとって「FANG(FAANG)」、「GAFA」、「GAFAM」などと呼ばれてきました。

 トランプ大統領は2月11日の記者会見で2017年からの在任期間中に米国株が5割以上上昇してきたことを自らの「実績」であると訴えました。そして、選挙運動キャンペーンであるMAGA(Make America Great Again=米国を再び偉大な国にしよう)と関連付け、米国で時価総額が1兆ドルを超えている4社(マイクロソフト、アップル、グーグル[アルファベット]、アマゾン・ドット・コム)を「MAGAと呼ぼう!」と述べました。また、新型肺炎の影響で中国景気が下押しし、世界経済を巡る不透明感が強まれば、FRB(米連邦準備制度理事会)が一段の利下げに踏み切ることを市場は期待しているとの見方もあります。

 図表3は、MAGA(2017年初における上記4社の株価を100とした平均推移)、ナスダック総合指数、S&P500指数、TOPIXの相対推移を示したものです。日本株より優勢である米国株(S&P500指数やナスダック総合指数)を圧倒的にリードしている銘柄群が「MAGA」であることがわかります。

 金利の低位安定見通しと中央銀行によるバランスシート拡大で生み出されている世界の投資マネー(過剰流動性)がデジタル革命のプラットフォーマー(勝ち組)であるMAGAに集中しているかのようです。したがって、MAGAがなんらかのきっかけで反落する場面を迎えると、米国株はもちろん日本株が下押し場面を迎えることも想定されます。

図表3:「MAGA」が米国株高をリードしている

*MAGA=米国市場の時価総額上位4社(Microsoft、Apple、Google(Alphabet)、Amazon.com)を指数化 (2017年初時点の4社の株価を100として平均化した指数) 出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2017/1/1-2020/2/19)