2.2020年3月期会社予想業績は上方修正された

 今3Qまでの順調な業績を見て、会社側は2020年3月期通期業績予想を上方修正しました。前回予想の売上高1兆2,500億円(前年比4.1%増)、営業利益2,600億円(同4.1%増)は、売上高1兆2,500億円(同4.1%増)、営業利益3,000億円(同20.1%増)に上方修正されました。

 今回の会社予想では、ニンテンドースイッチ・ハードは1,800万台→1,950万台(ただしニンテンドースイッチライトを含む。2019年3月期は1,695万台)へ、同ソフトは1億2,500万本から1億4,000万本(2019年3月期は1億1,855万本)へ上方修正されました。

 2020年3月期の楽天証券予想は、前回は売上高1兆3,700億円(前年比14.1%増)、営業利益3,000億円(同20.1%増)でしたが、今回は会社予想と同じとします。

 2020年3月期の楽天証券予想のニンテンドースイッチ・ハード、ソフト販売台数、販売本数は、前回予想ではハードが標準型1,700万台、ライト700万台、計2,400万台、ソフト1億6,000万本でしたが、今回予想ではハード標準型1,300万台、ライト650万台、計1,950万台、ソフト1億4,000万本と会社予想と同水準としました。

 楽天証券の販売台数、本数予想を下方修正したにもかかわらず、今回会社予想、前回楽天証券予想の営業利益3,000億円が達成できると考える根拠は、任天堂製ソフトと任天堂が販売権を持っているソフト(主にポケットモンスター)が、新作のみならず旧作も売れ行きが好調だからです。

 実は、今3Qまでの業績の勢いと、今4Qの「ポケットモンスター ソード・シールド」の売れ行き、2020年3月20日発売予定の「あつまれ どうぶつの森」や「マリオカート8デラックス」などの旧作ソフトの売れ行きを考慮すると、今期営業利益は3,100~3,200億円が可能と思われます。ただし、新型肺炎によって中国で生産している日本向けニンテンドースイッチの生産、出荷が遅れることになりました(北米向けはベトナムで生産しているため、新型肺炎の影響は受けていないもようです)。また会社側は、「あつまれ どうぶつの森」についても、「Nintendo Switch あつまれ どうぶつの森セット」とキャリングケースの予約開始日を2月8日から延期し未定としました(「あつまれ どうぶつの森」のパッケージ版とダウンロード版の予約開始日は2月8日で変わりません)。

「どうぶつの森」シリーズは、特に日本で若い女性とファミリー層に大変人気のあるシリーズです。2012年11月8日発売の「とびだせ どうぶつの森」(3DS)は、2019年12月までの累計販売本数が1,245万本に達した名作ソフトであり、約半分が日本で売れています。このため、新型肺炎によるニンテンドースイッチ・ハードの出荷の遅れ、ハード同梱版の予約の延期は、今4Qの業績にある程度の影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、楽天証券では今期業績予想を会社予想と同水準としました。

表5 ニンテンドースイッチ用ソフトの発売スケジュール(任天堂製または任天堂が販売権をもっているソフトのみ)

出所:任天堂ホームページより楽天証券作成