FRBの利下げ再開観測

 先週末に603ドル下げたNYダウは、週明けの2月3日(月)には、一時300ドル超の上昇となりました。

 新型肺炎の感染拡大は続いているのですが、先週のNYダウの下げは新型肺炎をきっかけに上げ過ぎた株の調整にしか過ぎず、下がったところは買い場だとの強気の見方が出てきたようです。この見方の背景には中国人民銀行の18兆円の資金供給を受けて、FRB(米連邦準備制度理事会)に対しても再利下げへの期待が高まったようです。新型肺炎で景気が鈍化すれば、FRBは慎重ながらも何らかの緩和策を取ってくるだろうとの期待です。

 米金利先物の値動きから金融政策を予想する「フェドウォッチ」によると、7月のFOMC(米連邦公開市場委員会)までの利下げの確率は、年初で25%程度でしたが、2月2日時点では70%強に急上昇しています。

 1月29日のFOMC後の記者会見では、パウエルFRB議長は全体の経済については「緩やかに拡大しているとの見通しに変化はない」と説明しています。そして、新型肺炎の影響については「初期段階であり不透明だが経過を注視している」とし、「近い将来、中国の生産活動に影響し、近隣諸国や世界経済に対しても影響が及ぶ可能性がある」と警戒感を示しました。そして感染は急拡大しているため、2月11日の議会証言でパウエル議長が一歩踏み込んだ警戒感を示せば、利下げ再開期待はさらに高まることが予想されます。そうなれば、米長期金利は下がり、ドル/円の円高圧力が高まる可能性があります。

 現在のドル/円は、上海・香港株やニューヨーク株の上げ下げによって上下動していますが、ジワリジワリと頭が重くなってきそうです。