中国経済の減速→世界経済へ波及すれば円高

 ただ、中国での感染拡大、ヒト・モノの移動制限によって中国経済は確実に減速することが予想されます。これが世界経済に波及するのが目に見えてきた段階で、ドル/円の円高のスピードは速くなるかもしれません。

 2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)が猛威を振るった時は春先に影響が集中し、中国の2003年4-6月期GDP(国内総生産)は1-3月期から2%低下(+11.1%→+9.1%)しましたが、SARS発症から半年以上経ってからの減速でした。

 一方、今回は規制が厳しいため、かなり早い段階で中国経済の減速が見えてくるかもしれません。また、世界に占める中国のGDPは2003年の約4%に対し、2019年では約16%と4倍近くなっていることから、世界経済に対する影響はかなり大きくなることが予想されます。

 日本は中国との経済関係が大きいため、長引けば長引くほど打撃が大きくなります。加えて、中国との人の行き来が盛んであるため、中国人観光客の減少によってインバウンドが減少するだけでなく、日本観光を避ける外国人が増えるリスクがあります。新型肺炎が終息するまでは日本を訪れないでしょう。