「AIが張子の虎」とは?

 ウィーン氏は10大予想以外にも、それほど重要ではないもの、実現可能性が高くないものとして、さらに5項目を挙げています。

11.インドでの経済危機が和らぎ、経済成長率6%、市場は20%上昇する

12.AI(人工知能)が張子の虎との見方が広がる。製造業はすでに機械化されており、これ以上仕事をAIが置き換える余地は小さい

13.ロシアで経済危機が深刻化し、社会不安が広がる。プーチンは中国に近づき、中ロは欧米と対峙(たいじ)する

14.ポピュリズム、内向き思考、無秩序、不協和が広がる。投資家が新興国市場の現地通貨建て債務を敬遠し、スプレッドが拡大

15.北朝鮮が核開発停止を受け入れるが、既存の兵器の放棄は拒否する。北朝鮮は脅威であり続けるが、差し迫った危険ではなくなる

「AIが張子の虎との見方が広がる」との予想は、現在、これだけ世の中がAI、AIとはやし立てている状況に対し、ガラッと評価が変わるのか大変興味深いです。もし、実現すればサプライズ10大予想よりもサプライズな予想です。ロシアの経済危機の深刻化と投資家の新興国市場の敬遠はリスクシナリオとして留意しておきたいところです。

 昨年もそうでしたが、バイロン・ウィーン氏の予想はサプライズ度合いが低くなってきているような気がします。ただご意見番の予想ですので、相場シナリオを想定する際に参考材料として活用することができます。ユーラシア・グループの10大リスクやバイロン氏のサプライズ10大予想を事前に知っているかそうでないのかでは、これらのリスクが発生した場合に慌てずにすみます。そういう意味で前回と今回のコラムは、折に触れて、数カ月に1回、1年の中で何回も読み返す価値があると思われます。ぜひ参考にしてください。