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原油急落。下げ幅の大きさは、これまで原油市場が背負っていた期待の大きさ。
吉田 哲
週刊コモディティマーケット
コモディティ(商品)をお取引いただく上でのコメント・アイディアを提供するレポートです。金をはじめとした貴金属、原油をはじめとしたエネルギー関連銘柄、とうもろこし・大豆などの穀物な…

原油急落。下げ幅の大きさは、これまで原油市場が背負っていた期待の大きさ。

2017/3/10
日本時間3月9日(木)午前0時過ぎ、原油価格が急落し始めました。一旦は落ち着きをみせたものの、同日午後6時頃より、再び下落。10日(金)の未明にかけて合わせて3.7ドル超(約7%)の下落となりました。
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  • われわれは“期待だけ、実態なし”のまま上昇した相場のもろさを目の当たりにしているのではないだろうか!?
  • 現在の原油市場の材料整理

日本時間3月9日(木)午前0時過ぎ、原油価格が急落し始めました。一旦は落ち着きをみせたものの、同日午後6時頃より、再び下落。10日(金)の未明にかけて合わせて3.7ドル超(約7%)の下落となりました。

図:原油価格の推移(期近 1時間足 終値) (単位:ドル/バレル)

出所:CMEのデータより筆者作成

図:原油価格の推移(期近 日足 終値) (単位:ドル/バレル)

出所:CMEのデータより筆者作成

先日とある石油関連のセミナーに参加した時のことです。

講演後の質問の時間に、質問者が念を押すようにこんな事を言っておられました。

「・・・そうすると、原油価格は上がるということですね!?」

日頃よりさまざまな方に市場の説明をする機会をいただいているのですが、先日、原油市場の現状について話をした際、こんな返答をいただきました。

「それだと・・・原油価格が下がってしまうということですか!?」

何か心に引っかかっていました。ただ、今回の原油価格の急落を見て、それが何なのか?ふと思ったのです。

われわれは、原油市場に過大な期待をしていたのではないか?ということです。

“期待を押し付けていた”と言い換えてもよいと思います。

もう一つ、引っかかっていたのが、“減産順守率”の件です。

先日、「順守率が90%を超える高水準であることが好感されて原油価格が反発した」、という旨の記事を目にした時です。

なぜ90%で評価されるのか?100%を超えないとダメなんじゃないか?ということです。

見たいように見、聞きたいように聞くのが人間である、という言葉を耳にすることがあります(もちろんわたくしもその一人であることを断言いたします)。

(先日、終焉を迎えましたが)NYダウの連騰の折、原油価格が下がることは都合が悪い(見聞きしたくない)から、原油価格が下がりそうな時、小さな材料でもみんなで下支え要因に仕立て上げられないか?原油価格が下がるという株価にとってのマイナス要因は排除しなければならない、といった「大衆のムード」が原油相場を支えた面もあるのではないか?(ある意味大衆迎合的な要素?)と、これまでのさまざまな出来事を振り返ってみて感じます。

今のところ、今回の急落の要因には「記録的な米国の原油在庫の積み上がり」「サウジの当局者による減産延長なしの発言」などが指摘されていますが、本当にそれだけなのでしょうか?(日本時間3月9日(木)に、投機が売っていたかどうかは日本時間3月18日(土)の未明に明らかになります)

あらゆる可能性を排除しないという考えにもとづけば、大衆によるムードで支え続ける相場が限界を迎えた、ということも急落の一因であるように思います。NYダウの連騰等、株式市場の支障にならないようにするために原油価格を(少なくとも?)50ドル台前半で維持してきたものの、株価の連騰も終わり原油価格を維持する理由の一つを大衆は失った、大衆の気持ちが原油相場から離れたことも急落の一因、というと妄想が過ぎるでしょうか。

筆者が想像(これも妄想ですが)するのは、もともと減産合意がなされた昨年11月30日以降、原油価格が急上昇し、52ドル近辺を維持していたおよそ3か月間の相場には“実態”はほとんどなかったのではないか?ということです。

減産スタート後、OPEC、非OPECは合意した内容をどれだけ守っているのでしょうか?“守る”ということへの温度感はいかほどなのでしょうか?

OPECは100%まで順守率があがらない、非OPECのロシアは順守できるまで時間がかかると言っている・・・が、もう3月です。「しびれをきらしている」と表現したアナリストがいますが、わたくしもおおむねそのように思います。

減産スタートから2か月強、減産が守られること(世界の需給バランスが均衡化へ向かって大きく前進すること、原油市場が株式市場をサポートしてくれること)へ期待していた大衆は“なにかおかしい”・・・と思いはじめているのではないかと思います。

ただ・・・とは言っても、ほとんど減産を守ったことがないOPECに大衆が過度な期待を寄せた(押し付けた)面もあったのではないかと個人的には感じています。

われわれは、急落によって、原油市場への過度な期待は後に大きなリスクを生むこと、期待が大きければ大きいほど、急落した際、下落幅が大きくなることを知った(知らされた)のだと思います。

このグローバル社会で、原油市場が原油市場だけの都合(原油市場の需給だけで)で形成されることはないのでしょうが、大衆から寄せられる期待があまりにも大きすぎる場合、そしてその期待に応えようと生産者が限度(節度)を超えた行動を取った場合、原油市場はその両方を抱えきれず、実態を伴わない上昇とその後の急落を生むのだと思います。

これで急落が終わったとは言い切れませんが、少なくともこれまでの急落で原油市場に寄せられる過度な期待の一部は取れ、期待に踊らされない素の原油市場に近づいたように思います。

これから起きる事象を冷静に一つ一つ消化していきたいと思います。

現在の原油市場の材料整理

出所:筆者作成

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