経済重要日程2020

 為替相場の経済要因として最も大きな要因は、金融政策の決定です。特に重要なのは、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策です。

 また、日銀、FRB、ECB(欧州中央銀行)総裁は金融政策委員会終了後、毎回記者会見を行い、市場との対話に努めますが、この記者会見も重要です。ここでは、声明文を補うような一歩踏み込んだ説明をしたり、先行きの方向性を示唆する内容を発言したりするからです。

 例えば、FRBは昨年、7月、9月、10月と3回利下げをしましたが、12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)の声明文では「見通しに不確実性は残る」との文言を削除し、利下げを休止しました。そして、2020年の政策金利見通しでは据え置きを示唆。さらにパウエルFRB議長は記者会見で、今後の利上げについて「著しく持続性のあるインフレ加速が必要」と発言。同時に「目標の物価2%へ導くのは非常に難しくなってきた」と述べたことから、マーケットは「利下げ休止=利上げ局面入り」ではないとのメッセージと捉え、当面、利上げの可能性は低いという期待から、その後の株高につながりました。

 果たしてFRBの政策金利は、見通しどおり今年いっぱい据え置きになるのでしょうか。

 米中通商協議の第2段階の交渉が難航したり、経済指標が悪化すれば、再利下げの可能性も高まり、逆に物価が2%を超えてくれば、利上げの思惑が高まってきます。

 これらのことを判断するために、金融政策を左右する景気の強さを測るGDPや物価動向、米国失業率(米国雇用統計は、毎月第1金曜日に前月分が発表)に注目していく必要があります。

 一方、ECBはどうでしょうか。

 ドラギECB前総裁が残した大規模緩和の持続性に注目が集まります。ラガルドECB新総裁はドラギ前総裁が進めてきた金融緩和路線を引き継ぐ姿勢を示しましたが、持続性を欠くのではないかとの懸念があります。それは、量的緩和を再開はしたものの、買い取り枠が最大のドイツ国債は2020年末には枯渇すると言われているからです。購入条件を緩めて量的緩和を続けるか、それとも緩和をやめるか、2020年夏ごろには決断を下さないといけない状況になりそうです。その時点で景気が悪化していれば、さらに難しい決断になりそうです。