目下、株主優待が大人気。トウシルでも特集が組まれていますし、大和インベスター・リレーションズや野村インベスター・リレーションズもWebサイトや書籍で情報を発信しています。

 株主優待制度導入企業は年々増加し、直近では1,500社を突破。10年間で約500社が株主優待制度を新たに導入しています。株主優待を楽しみにする方も多いと思いますが、制度上の問題点を指摘する声も増え始めています。

なぜ、株主優待制度を導入する企業が増えているのか?

 株主優待制度を導入する企業にとってのメリットは、大まかに、(1)株主ロイヤルティの向上(ファン作り)、(2)安定株主の確保、(3)株主数の増加・維持が挙げられます。

 株主ロイヤルティの向上(ファン作り)を図るため、自社製品を配布したり、お店の割引券や施設の入場券、鉄道の乗車券といった自社のサービスを提供するなどの手法があります。株主であると同時に、顧客としても企業のファンになってもらおうという戦略で、株価の上昇や売上増加を期待できます。伝統的な株主優待制度と言えるでしょう。

 ところが、最近の株主優待制度では、クオカードなどの金券やカタログギフトなど、自社の製品やサービスとは直接には関係のない株主優待を配布することがブームです。自社のファンを増やすことよりも、安定株主の確保や株主数の増加・維持が目的なので、自社製品・サービスと関係ない株主優待をばらまいて、株主になるよう釣っているという見方もできます。