先週末9月15日(金)の日経平均終値は1万9,909円となりました。前週末(9月8日)の終値が1万9,274円だったので、上昇幅は約635円になります。週足ベースでこれだけ大きく上昇したのは久々です。

図1:日経平均(日足)の動き(2017年9月15日取引終了時点)
 

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成

 まずはいつもの通り、上の図1で現在の状況を確認します。

 先週は週を通じて強気ムードを感じさせる展開となりました。ローソク足の並びは「窓」空けが多く、短期間での株価の急回復を演出したほか、チャートの形状もやや変則的な「Wボトム」にも見え、短期的な底打ち上昇感を示唆している印象です。株価と移動平均線との位置関係で、前回のポイントとして指摘した25日移動平均線の上抜けを軽々と達成し、75日移動平均線の水準まで来ています。節目の2万円台も視野に捉えていますが、ひとまずこの水準で上昇が一服し、次の展開を待っている格好となります。

 同じ主要株価指数であるTOPIXも日経平均と同様の動きを見せています。しかもTOPIXは先週14日の取引時間中につけた高値(1642.56)が、8月7日の直近高値(1642.34)をわずかに上回り、年初来の高値を更新する場面もありました(下の図2)。

図2:TOPIX(日足)の動き (2017年9月15日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成

 先週の値動きが力強いものとなった要因のひとつが北朝鮮情勢に対する市場の反応です。

 前週末(9月8日)時点までは、翌日(9月9日)の北朝鮮の建国記念日や国連安保理の制裁決議待ちを控えてやや警戒モードでした。実際のところ、建国記念日に目立った動きはなく、これが安心感につながり週初め(9月11日)の日経平均が大きく上昇しています。

 また、12日には国連安保理で北朝鮮への追加経済制裁が決議されました。北朝鮮はその3日後の15日(金)にミサイル発射で反応しましたが、事前にミサイル発射の兆候が報道されていたこともあり、市場はあまり新たな脅威として受け止めず、結局この日も上昇して取引を終えています。

 北朝鮮情勢については、少し「慣れ」てきたのか、鈍感力が付いているような印象です。確かに、政治外交面で冷静に分析すると状況は良くなるどころか着実に悪くなっているのですが、市場としては軍事的衝突の可能性が切迫しなければとりあえずリスクオンのようです。

この他にも、「財政の崖」による政府機関の閉鎖の回避をはじめ、ハリケーン「イルマ」の影響が想定していた程ではなかったことなど、米国の懸念材料が後退し、米国株市場が最高値圏で推移していたことも追い風になっています。

また、下の図3は前回も紹介した日経平均のHLバンドです。

図3:日経平均(日足)のHLバンド(2017年9月1日取引終了時点)
 

出所:MARKETSPEED for Macを元に筆者作成

 前週末はHLバンドの下限の線に位置していた日経平均ですが、1週間で反対側の上限の線まで駆け上がった格好となっています。先ほどの図1でも触れましたが、足元の日経平均は75日移動平均線で上昇が一服していることもあり、先週までは懸念材料が後退したことによる買い戻しの動きだったと言えます。

 今後は上限の線を拡大して買い上がれるかがポイントになりますが、米国では今週注目のFOMC(連邦公開市場委員会)が予定されているほか、さらに、週末になって国内の政治動向(衆議院の解散選挙観測)も話題に上ってきました。株式市場が「いいとこ取り相場」再来の雰囲気を醸し出している中で、意外とあっさり日経平均は2万円台を回復し、しばらく強気な展開が続くかもしれません。しかし「好事魔多し」には注意が必要で、すぐに撤退できる準備は怠らない方が良さそうです。