夫婦の老後の生活費は1人暮らしより「割安」でもらえる年金は2人分:おひとりさまのウイークポイント
現役時代、正社員である場合、おそらく生活費のやりくりはなんとかなると思います。むしろ正社員で40~50代にかけて、そこそこ稼げている人は、子どもにお金がかからない分、同僚よりかなり余裕のある生活をエンジョイしていたりします。
それはそれで人生の選択なので堂々と楽しめばいいのですが、「自分の老後への意識」を持たないままなら、それは要注意です。
というのは、単身の正社員の老後はかなり危ういものであるからです。
まず生活費はそれなりにかかります。総務省家計調査年報(2018年)では年金生活夫婦の生活コストを月26.5万円、年金生活の単身者の生活コストを月16.2万円としています。2人暮らしの生活コストの半分は約13万円になるはずですが、1人暮らしの生活コストは2人暮らしのそれよりも、やや割高になるわけです。
考えてみれば当たり前の話で、冷蔵庫も一つ必要だし風呂を張る水道代も必要だし、1人暮らしの生活コストは半分とはいきません。
一方で、年金のモデル水準はどうでしょうか。「厚生年金+国民年金(基礎年金)」を1人分、モデルケースで月15.6万円程度もらえます。ただし、正社員でなかったため、国民年金分しかもらえない人は月6.5万円と大きく下がります。
これに対し、専業主婦やパートであった妻と会社員の夫のモデルであれば、合計で22.2万円です。さらに、共働き正社員夫婦であったとすれば、厚生年金を2人分もらえるので、モデルでおおむね28万~30万円くらいを毎月の年金として受け取ります。
おひとりさまの老齢年金は大卒初任給ほどももらえない、というイメージです。これでは現役時代と比べてだいぶ余裕がなく、相当苦しい家計のやりくりを迫られることになるでしょう。