昨年の後半以降、銅だけでなく、天然ゴム、鉄鉱石、石炭など市況も上昇傾向

複数の一次産品価格の上昇は中国をはじめとした世界的な需要が拡大していることが背景

以下は銅(LME)、天然ゴム(上海期貨交易所)、鉄鉱石(シカゴマーカンタイル取引所)、石炭(豪ニューカッスル炭)の価格動向を示したものです。

図:各種一次産品の価格動向(2016年1月末を100として指数化)

出所:ブルームバーグをもとに筆者作成

 

 2016年の年初以降、銅のみならず、石炭、鉄鉱石、天然ゴムの価格が上昇傾向にあることがわかります。振れ幅は大きいですが、2017年9月13日時点の価格は2016年1月末比、銅が1.46倍、石炭が1.69倍、天然ゴムが1.65倍、鉄鉱石が1.87倍になっています。また、以下は各種一次産品の輸入額の上位10位です。

図:鉄鉱石の輸入額 (2016年) 単位:千ドル

出所:UNCTADのデータより筆者作成

図:天然ゴムの輸入額 (2016年) 単位:千ドル

出所:UNCTADのデータより筆者作成

図:石炭の輸入額 (2016年) 単位:千ドル

出所:UNCTADのデータより筆者作成

図:銅の輸入額 (2016年) 単位:千ドル

出所:UNCTADのデータより筆者作成

 いずれも1位が中国で2位以下を大きく引き離しています。これらの価格が上昇傾向にあること、そしてこれらの輸入シェアのトップが中国であることを考えれば、中国の一次産品の輸入が比較的堅調である、つまり中国経済は底堅く成長していると言えそうです。

銅価格の回復

銅鉱山で巨額の減損を出した非鉄・商社など銅関連株の株価後押し要因に

 世界各地の銅鉱山への投資を積極的に行っているのは、非鉄や商社に分類される会社です。銅の鉱石を仕入れて精錬する事業(銅精錬事業)は、かつては非鉄に関わる会社の主力事業とされました。2000年代に入ると世界的に銅鉱山の力が強まり、精錬によるマージンが縮小したため、方針を転換し、鉱山開発の投資を増加させました。

 このような動きを背景に、銅価格が非鉄に関わる非鉄・商社の会社の収益へ大きく影響するようになりました。以下は、2016年9月1日を100とした銅価格と銅と関わりが強いとみられる非鉄・商社の株価の推移です。2016年9月1日を100としています。

図:銅鉱山への投資額が大きい日本企業の株価と銅価格の推移 (2016年9月1日を100)

出所:ブルームバーグより筆者作成

※三井金属鉱業(5706)の2017年9月13日現在の値は276.5でした。

 銅価格の上昇は関連する会社の収益向上に貢献・株価の上昇につながっているようです。このような会社へ投資をする際は、銅価格の動向に注目することが必要です。