投資家としてAmazonの真の目的を理解できていたか?

 では、個人投資家としてどうだったか、自問自答してください。米国でAmazonが誕生し、日本に進出してきたとき、Amazonの商売をどう理解したのか? 多くの人はネットを使った本の通信販売会社だと思ったはずです。でも、そうではなかった。Amazonの目的はデータリズムだったのです。

 これからの時代は、企業の大中小、業界に関係なくデータを的確に戦略的に活用できる企業が生き残り、そうでない企業は消えていく。それを個人投資家が見極めることは容易ではありません。

 しかし、攻め筋はあります。キーワードは次の3点です。

(1)デジタルトランスフォーメーション
(2)アジアダイナミズム(後編のテーマ)
(3)ジェロントロジー(高齢化社会工学)

 この問題意識に対して、戦略的な視界を切り開いた企業が、個人投資家が「成功」に近づくことができるのです。

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寺島実郎(てらしま・じつろう)

一般財団法人日本総合研究所会長、多摩大学学長。
1947年北海道生まれ。1973年早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了後、三井物産株式会社入社。米ブルッキングス研究所出向を経て、米国三井物産ワシントン事務所所長、三井物産業務部総合情報室長、三井物産戦略研究所所長、会長などを歴任。
1994年石橋湛山賞受賞。2010年4月早稲田大学名誉博士学位授与。近著に『戦後日本を生きた世代は何を残すべきか われらの持つべき視界と覚悟』(佐高信共著、河出書房新社)、『ジェロントロジー宣言「知の再武装」で100歳人生を生き抜く』(NHK出版新書)がある。