PEGレシオで比較選別した「割安銘柄」は?

 個別銘柄ではどうでしょう。本稿では、TOPIX100指数(東証上場時価総額上位100銘柄で構成される株価指数)をユニバース(銘柄母集団)にし、予想PEGレシオで割安感が強い順で10社のみを挙げてみました(図表4)。

 その結果、割安感の1位は日産自動車(7201)となりました。日産自動車は今期こそ業績低迷を余儀なくされますが、来期と来々期の平均では63.7%の業績回復が見込まれています(市場予想平均=アナリスト予想の平均)。同社の予想PEGレシオは約0.15倍と試算できます。以下、2位の国際石油開発帝石(1605)、4位の日本製鉄(5401)、5位のJXTGホールディングス(5020)など景気敏感・市況敏感銘柄が浮上しました。

 2019年は貿易紛争で世界景気が鈍化し、資源市況や鉄鋼市況は影響を受けました。今後、米中貿易交渉が進展し、先行き景況感と業績回復期待が強まれば、こうした割安感が見直される可能性はありそうです。

 PERのみで割安度を判断するより、業績見通しを加味したPEGレシオで検討する方が「逆張り的な割安感の検討」に有用と考えられます。ただ、PEGレシオのG(利益成長見通し)は現時点のアナリスト予想平均であり、今後の景気や経営環境の変化次第で修正(上方修正や下方修正)される可能性があり、確定した数値ではないことに留意する必要があります。

 PEGレシオは「小型成長株投資に有効」との見方がありますが、業績見通しを加味した割安感を比較する上で「当該銘柄を調査担当するアナリスト数が多い大型株」の方が、「投資判断の参考情報」になると考えています。

<図表4:予想PEGレシオで分析した割安銘柄>

 *上記はTOPIX100構成銘柄について「予想PEGレシオ」の昇順(低い順)に10銘柄を示したものです
*予想PER(株価収益率)と予想増減益率はBloomberg集計による市場予想平均にもとづく
*「来期予想」は主に2021年3月期、「来々期予想」は2022年3月期を示します
*上記は参考情報であり、個別銘柄への投資を推奨するものではありません。
出所:Bloombergのデータをもとに楽天証券経済研究所作成(2019年11月27日)

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