今週の予想

上値重く一服感となる可能性

 日経平均株価は、先週まで5週連続で上昇し、上げ幅は2,000円近くになっており、相場の過熱感を示す指標である騰落レシオは130%台(11月7日時点)と高値警戒ゾーンに入っています。一服感が出て2万3,000円台での日柄調整になってもおかしくないところです。先週末8日(金)の日足の動きを見ると、この兆候が現れています。

 米国株式の主要3指標そろっての最高値更新を受け、8日の日経平均は+220円の2万3,550円で寄り付いた後、2万3,591円まで上昇しましたが、この日の11月SQ(特別清算指数)値2万3,637円を前に失速。一時マイナス圏まで下落し、大引けは+61円の2万3,391円で引けました。 

 この日足は長めの陰線となっており、幻のSQ(日経平均がSQ値に到達せず引けている現象)となっています。このような場合は、早い段階でSQ値を突破できなければ、目先は一つの上値抵抗ラインとして意識されることになります。

 海外材料は、引き続き米中通商協議の動向です。先週末、中国商務省が「これまで双方が発動した追加関税を段階的に撤廃することに合意した」と発表。株価の上昇サポートになりましたが、その後トランプ米大統領は否定しており、相変わらず不透明さを伴っています。

 また、明日13日に予定されているパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の議会証言も、今後の金融政策の方向が確認できるか気になるところです。市場では、利下げは打ち止め観測も出ており、日米金利差縮小の後退からドルが買われ、やや円安の方向となっています。

 さらに今週は、国内では7-9月期のGDP(国内総生産)の速報値が公表され、海外では米消費者物価指数や中国の工業生産などの発表があります。米中貿易戦争が両国経済に与えた悪影響の程度を確認することになります。

 今週、調整する場面があれば、短期売買にとってはチャンスとなります。それはチャートを見て分かるように、2018年10月2日の2万4,448円というバブル崩壊後の最高値までフシらしいフシがありませんので、ほどよい調整が完了して、11月8日のSQ値2万3,637円を突破すれば、2万4,000円が視野に入ってくるからです。

 11日(月)は、先週末の米株高を受け+30円の2万3,422円で寄り付き、一時+79円の2万3,471円まで上昇。しかし、香港情勢の悪化からハンセン指数が大きく下げ、ツレて上海株式も下落となったことから、日経平均の上値が重くなり、下げに転じました。▲68円の2万3,323円まで下げて、終値は▲60円の2万3,331円と5日ぶりの反落となりました。

 ただし、上昇銘柄数多く、これまで上昇してなかった銘柄の水準訂正が起きています。水準訂正が終われば一服感が強まる可能性があります。