政治リスク後退も先送りしただけ
いったん後退した政治リスクも、完全に払拭されたわけではなさそうです。
英国の政治リスクであるブレグジットは材料として、いったん落ち着いていますが、12月12日に決定した総選挙の結果次第では再び波乱材料になる可能性もあり、この総選挙は12月10~11日に予定されているFOMCにも影響を与えるかもしれません。FOMCは翌日に控えた総選挙を考慮し、「予防的利下げ」の看板をなかなか下ろすわけにはいかなくなりそうです。
また、米中通商協議についても11月中旬の署名に影響を与えるかもしれない中国企業への締め付けの方針が発表されました。
FCC(米連邦通信委員会)は28日、補助金を受け取っている米国内の通信会社に対して中国の通信機器大手ファーウェイとZTE社の製品を使わないよう求める採決を、11月19日に実施すると発表。新規調達を禁じるだけでなく、既存製品の撤去・交換も要請するとのことであり、「安全保障上のリスクと闘う」との声明を出しました。スパイ活動などを懸念した措置で、米国による中国企業への締め付けが一段と厳しくなる内容です。
11月中旬の署名を目指す「第1段階」の合意では、ファーウェイやZTEの件は貿易協議とは別枠で扱うとしていますが、何らかの影響を与えるかもしれません。ただ、FCCの採決は米中首脳会談の後であるため、交渉前の揺さぶりかもしれないという点にも留意しておく必要がありそうです。
このように10月にいったん後退した政治リスクは、11月に再び火種になる可能性を考えておくべきと言えます。