米国の景況感を測る指数に異変?
米国に目を転じると、やはり、強弱入り混じった数字が発表されています。
先週の米雇用統計は、非農業部門雇用者数は+13万人と予想(+16万人)を下回りましたが、賃金の伸び率が+3.2%(前年比)と予想(+3.0%)を上回ったことから、ドル/円にとってはニュートラルな材料となりました。
また、先週発表された米国のISM景況指数(※)では、製造業と非製造業(サービス業)の景況感の違いが鮮明になり、マーケットは振られました。
ISM(全米供給管理協会)が9月3日に公表した8月のISM製造業景況指数は49.1と、前月の51.2から低下。2016年8月以来初めて、景気拡大・縮小の節目となる50を割り込みました。指数の低下は5カ月連続です。日本、ユーロ圏、英国、中国では既に製造業活動が縮小しており、米国もこれに追随する格好となったことから、リセッション(景気後退)懸念が強まりました。
ところが、9月5日に公表された8月のISM非製造業景況指数は56.4と、前月から上昇し、2008年2月以降で最大の伸びを示しました。
製造業景況指数ではリセッション懸念が強まりましたが、サービス業は経済全体の約90%を占めていることから、非製造業景況指数がリセッション懸念を払拭した数字となりました。
このように欧州でも米国でも強弱入り混じった数字が出始めているため、今後の経済指標で景気の方向を見極める必要があります。
今週は、米国の経済指標の中でも楽観的な消費関連の指標が発表されるため、注目です。13日(金)発表の米小売売上高、ミシガン大学消費者態度指数の結果から、消費動向の経過を見極める週となりそうです。「通貨大乱の月」がこのまま無事に終わればよいのですが...。
※ISM景況指数とは
ISM(全米供給管理協会=Institute for Supply Management)が製造業約350社、非製造業約370社の購買担当役員にアンケート調査を実施して算出する、製造業、非製造業の景況感を示す指数。
指数の読み方は?
指数の50%を景気の拡大・後退の分岐点とし、50%を上回ると景気拡大、50%を下回ると景気後退を示す。
注目度は?
毎月発表される米国の主要指標の中で、「ISM製造業景況感指数」はその月の最も早い第1営業日に発表されることから米国の景気先行指標として注目されている。「ISM非製造業景況感指数」は毎月第3営業日に発表。
直近の指数公表はいつだった?
8月のISM景況指数は、「ISM製造業景況感指数」は9月3日に公表され、「ISM非製造業景況感指数」は9月5日に公表された。9月1日は日曜日、2日は米国祝日(Labor day)、従って9月の第1営業日は9月3日(火)となり、第3営業日は9月5日(木)となる。