投機筋は円高予測。IMM通貨先物が円ロングに転じる

 このことを象徴するかのように、CME(シカゴマーカンタイル取引所)のIMM通貨先物の円のネット・ポジションが、8月に入って2016年以来1万枚()を超える本格的な円ロングに転じました(8月20日終了週、円ロング3万1,154枚〈前週比+6,412枚〉)。

※日本円の通貨先物の1契約単位(枚数)は1,250万円。1万枚×1,250万円=1,250億円、3万1,154枚×1,250万円=3,894億2,500万円

 IMM通貨先物のポジションは投機筋のポジションの縮図と言われ、為替市場では投機筋の相場観を探る指標として注目されています。また、そのネット・ポジションが円ショートから円ロングに転じたということは、投機筋は先行き円高を見ているということになります。

 2016年以来の円ロングに転じましたが、2016年は世界経済の減速や英国の国民投票によるEU(欧州連合)離脱決定を受けて、ドル/円が一時100円を割った年です。その年の円ロングのピークは7万枚程度なので、その規模まで円ロングが積み上がるのであれば、まだまだ円高が進むかもしれません。

 以上のように、新たな段階に入った米中貿易摩擦という要因によって、当面はマーケットのボラティリティは高まりそうであり、少なくとも2020年の米大統領選挙までは米中摩擦に翻弄(ほんろう)される相場が続きそうです。

 事実、週明け月曜日(8月26日)にドル/円が2円弱円安に動いた背景は、トランプ大統領が「中国から貿易交渉を再開したいと連絡があった」と話したことです。一気にドルが買い戻されました。後に中国側は否定しましたが、どちらが正しいのかマーケットはついていけていない状況です。

 今後もボラタイルな状況はまだまだ続きそうなため、マーケットには注意して臨む必要がありそうです。