ETFのどこが「ダントツに優れモノ」なのか?

 ETFはなぜこれほどまでに成功したのでしょうか? それは率直的な言い方をすれば「既存の投資商品より、ダントツに優れモノの商品だったから」ということに尽きます。つまり成功すべくして成功したわけです。

 それではETFのどこが「ダントツに優れモノ」なのでしょうか。ポイントは次の5点です。

1.購入タイミングが自由
2.フィー(手数料)が安い
3.米国の投資信託税制の不利益を受けない
4.透明性が高い
5.ポートフォリオを組む際の利便性

 それでは具体的に説明します。

1:購入タイミングが自由

 個人投資家の方々が分かっているようで、実はあまり分かっていない大事なポイント、それが「購入タイミングが自由であるメリット」です。

 従来の投資信託の場合、一日が終わって、株式市場(マーケット)が閉まった後で、投資信託の価格である基準価額を計算します。別の言い方をすれば、投資信託の価格は、一日に1回しか付かないのです。

 例えば、ある日、相場を眺めていたら、マーケットが急騰したとします。このとき、急騰する前日の基準価額で投資信託(ファンド)を購入することができたら、これほどおいしい話はないですよね? 値上がりする前に安くファンドを手に入れることができるのですから。

 でも、これを許すと、既にその投信を購入し、保有し続けてきた他の投資家に不公平になります。

 このため、日中に投資信託の買い注文を入れた投資家は、その日のマーケットが閉まった後に計算される値段でファンドを買い付けるルールになっています。この例でいえば、急騰後の価格になります。

 このように、日中は自分が買い付ける際の基準価額が分からないままに注文を入れることから、これを「ブラインド(盲目)方式」と呼びます。

 ブラインド方式は、相場が急騰したからといって慌てて注文を出しても、その日、マーケットが上がった後の値段でしか買えないのです。また相場が急落している日に慌てて売り注文を出したとしても、その日、マーケットが下がった後の値段でしか逃げることはできません。

 こう書くと、皆さんは(私はデイトレーダーじゃない。だからそんな細かいことは関係ない)と思われるかもしれません。しかし、ブラインド方式は買い付け価格が分からないままに発注する方法ですから、あなたが買いコストを厳密に管理することは不可能なのです。

 いまマーケットが日中に1%上がったり、下がったりすることは、日常茶飯事です。下手をすれば、これだけで1年間の運用フィー(手数料)に匹敵するようなコストを被りかねないのです!

 その点、ETFは株式と同様に株式市場が開いている間、リアルタイムの価格で購入、売却ができます。だから、自分の納得のいくピンポイントの価格(指値)、ないしは時間(成行注文)で取引ができるのです。本当にコストにシビアな投資家は、ちゃんと指値をして自分の納得のいく値段でETFを買っています。