次の法改正はいつ頃実現するか 思ったより先の話かも

 改めて、新聞に報道された法改正の説明に戻りますが、現状ではまだ不明なところが大きいのが現状です。次回あたりの企業年金・個人年金部会で資料説明があるかもしれませんが、限度額のルールをどう設定するかがまず未知数です。

 また二つのDC口座開設をチェックし、限度額をチェックする仕組みを運営管理機関サイドがどう構築するかも不明です。

 現場に近い人ほど「法改正はいいことだけど、実際にやるとしたら大変だなあ」という感想を持っているようです。

 また、税制改正大綱に記載され(早くて2019年末)、DC改正法が提出され(最短で2020年初)、法律が成立し(最短で2020年の春?)、その後に施行される(おそらく数年は間が空く)としたらまだずいぶん先の話でしょう。

「私も来年からiDeCoに入れる」と思うのは気が早いので、じっくり待っていただければと思います。

「老後に2,000万円」対策としては期待。だが限度額引き上げも必要か

 さて、この件、個人のマネープランにとってはどう影響するでしょうか。

 企業型DCの加入者であってもiDeCoに加入できるということは、「会社の退職金制度以外の積立枠」を手にするということです。

「老後に2000万円」問題の本質は「退職金にプラスアルファ分を貯めておかないと老後は大変だよ」というメッセージですが、企業型DCの加入者は、マッチング拠出制度がない限り、確定拠出年金の枠内に、自分のお金を入金することができませんでした。

 規制緩和が実現すれば、現役世代は誰でもiDeCoに追加入金できることになります。これにより国民の老後資産形成は一層はかどることになるでしょう。

 心配なのは、企業型DCとの限度額管理が残ることですが、ここはもう一段階の限度額引き上げが実現すれば、ずいぶんすっきりすると思います。「米国並み」とは言いませんが、年間100万円程度の枠組みがあって、企業型と個人型を共有するのなら、限度額の心配はほとんど皆無になるでしょう。

 今回の報道、まだまだ解決しなければならないことが多いので、実現までの困難は未知数ですが、いい方向の改正に結びつけてほしいと思います。