最終的に日経平均の動きを決めるのはファンダメンタルズ

 裁定買い残はかなり低い水準まで減少しましたが、裁定残だけで投資判断すべきではありません。裁定残がいくらまで減ったら増加に転じるという明確な法則はないからです。その時々で、裁定残が底を打つ水準は異なります。

 短期筋の買いポジションがほとんど整理されていることを意識しつつ、ファンダメンタルズ(景気・企業業績)の変化も見ながら、日経平均反転の時期を探っていくことになります。

 私は、現在の日経平均は、2019年の世界景気悪化を織り込む最終局面で、年末にかけて、2020年の世界景気回復を織り込む上昇相場が始まると予想しています。現在の裁定買い残高が示唆する買いシグナルが当たるならば、日経平均は年末にかけて上昇トレンドを取り戻すことになります。

 ただし、最終的に株の動く方向を決める一番重要な要素は、ファンダメンタルズです。投機筋のポジションだけでは決まりません。ファンダメンタルズの変化を見つつ、外国人が日本株を見る目が変わるタイミングをはかっていく必要があります。

【参考】 裁定買い残が3.5兆~4兆円まで増加した時は、日経平均「買われ過ぎ」を警戒すべき

 2007年以降で見ると、裁定買い残が3.5兆~4兆円まで増加した後、日経平均は反落局面に入っていました。裁定買い残3.5兆~4兆円は、投機筋の先物買い建てが高水準になっていることを示し、短期的な「買われ過ぎ」を警戒した方が良いレベルです。

日経平均と裁定買い残の推移:2007年1月4日~2019年8月19日(裁定買い残は2019年8月9日まで)

注:東京証券取引所データに基づき楽天証券経済研究所が作成

 ただし、今は、裁定買い残高が低すぎる状態です。短期的需給シグナルとして見ると、日経平均は「売られ過ぎ」と判断できます。

 

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