中国は、人民元安を誘導することで米国の制裁関税に対抗

 中国は、人民元が米ドルに対し下落することを容認することで、米国の制裁関税に対抗していると考えられます。米国が中国からの輸入品に10%の関税をかけても、人民元がドルに対して10%安くなれば、米国での中国品輸入コストは上がりません。通貨安には、関税引き上げを相殺する効果があります。

人民元の対米ドル為替レート推移:2017年1月2日~2019年8月9日

注:楽天証券経済研究所が作成

 中国は近年、米国との合意を目指し、米国に気をつかっている時は、人民元高に誘導する傾向がありました(2017年)。ところが米国との交渉が難航し、米国との合意を断念するときには、人民元安に誘導する傾向があります(2018~2019年)。今、米国との長期戦を覚悟しつつある中国は、人民元下落を容認する方向にあります。