今年2度目のトランプ・ショックで世界株安。米中対立が緩和する兆しなし
先週の日経平均株価は、1週間で403円下落して、2万684円となりました。米中の対立が泥沼化しつつあることを嫌気し、世界的にリスク・オフが広がっています。
NYダウ・日経平均株価の推移比較:2018年末~2019年8月9日
2019年に入ってから、米中対立が緩和するか激化するか、トランプ発言によって思惑が変わり、世界の株式市場が振り回されています。1~4月まで、米中協議の「合意が近い」とのトランプ発言を受け、世界株高が進みました。ところが5月、トランプ米大統領が、中国が合意を守らないという理由で、制裁関税(2,000億ドル相当)の税率を10%から25%に引き上げると、世界的に株が急落しました。
その後、トランプ大統領が「米中協議を再開する」と発表すると、合意を目指すとの思惑が出て、世界的に株が反発しました。ところが、8月1日、トランプ大統領が、対中制裁第4弾として、9月1日より制裁関税(3,000億ドル相当)に10%の関税を課すと表明したことから、再び、世界株安となりました。
先週、米中対立は一段とエスカレート
米中の対立は、緩和する兆しが全くなく、エスカレートする一方です。中国は、人民元レート(対米ドル)の下落を容認することで、米国の関税引き上げに対抗する構えを見せています。先週は、以下の通り、米中がさらに硬化し、報復の応酬となっています。
【1】8月5日、米国は中国を「為替操作国」に指定
さらなる報復措置を行う準備ととれます。
【2】8月5日、中国は米国からの農産物の輸入停止
中国は、国営企業に対し、米国からの農産物輸入を停止するように要請しました。対中制裁第4弾に対する報復と考えられます。米中歩み寄りの余地がなくなりつつあります。
【3】8月9日、トランプ大統領はファーウェイと取引しないと強調
中国の通信機器大手ファーウェイへの制裁緩和から制裁解除へ進む期待が出ていましたが、トランプ大統領が改めてファーウェイへの制裁継続を表明。禁輸長期化の可能性が高まりました。
【4】8月9日、トランプ大統領は9月上旬ワシントンでの米中閣僚協議中止を示唆
2020年大統領選挙を控えるトランプ大統領は、年内に何らかの合意を模索すると考えられていましたが、年内合意は難しくなってきました。米中とも、長期戦を意識しつつあると考えられます。
中国は、人民元安を誘導することで米国の制裁関税に対抗
中国は、人民元が米ドルに対し下落することを容認することで、米国の制裁関税に対抗していると考えられます。米国が中国からの輸入品に10%の関税をかけても、人民元がドルに対して10%安くなれば、米国での中国品輸入コストは上がりません。通貨安には、関税引き上げを相殺する効果があります。
人民元の対米ドル為替レート推移:2017年1月2日~2019年8月9日
中国は近年、米国との合意を目指し、米国に気をつかっている時は、人民元高に誘導する傾向がありました(2017年)。ところが米国との交渉が難航し、米国との合意を断念するときには、人民元安に誘導する傾向があります(2018~2019年)。今、米国との長期戦を覚悟しつつある中国は、人民元下落を容認する方向にあります。
日経平均は二番底模索へ
日経平均は、2018年末に一番底(12月26日に一時1万8,948円)をつけましたが、目先、二番底を模索する展開となりそうです。ただし、この下落局面は、長期投資で日本株の買い場となると判断しています。
日経平均の推移:2015年1月5日~2019年8月9日
簡単に、2015年以降の流れを振り返ります。
【1】2015年末~2016年初に、世界的に景気停滞
日本も景気後退ぎりぎりまで景気が悪化しましたが、結果的に景気後退には至らず、2016年後半から世界的に景気が回復し、日本の景気も回復に向かいました。
日経平均は、この景気変化を受けて、乱高下しました。2015年に「二番天井」をつけて急落しましたが、2016年に「二番底」をつけてから、急反発しました。
【2】2018年末~2019年にかけて世界的に景気悪化
今、米中貿易戦争の影響などを受け、再び、世界的に景気が悪化してきています。2018年末から、景気の悪化が鮮明となってきました。日経平均は、この景気変化を受けて、乱高下しています。2018年には、二番天井つけてから急落しました。昨年末に、日経平均は一番底をつけたと見ています。現在、二番底を模索中です。
今、世界的な株安、景気悪化を受けて、悲観が広がっています。日経平均は短期的にどこまで下がるか、見通しにくい状況です。私は、この下落局面で、リスクをとって積極的に日本株を買っていって報われると判断しています。まずは、大型の高配当利回り株から買うべきと考えます。
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