能力にふさわしい賃金が得られる社会を目指せ

 手前味噌の話をさせてもらうと、私は金融アナリスト時代、大手銀行21行を統合して4行にせよというレポートを書いてバッシングにあいました。しかしすぐに統合が実現し現在は3行(グループ)に集約されました。その後、観光戦略を実行しないと地方が疲弊すると警鐘を鳴らし、観光戦略が推進された結果、先ほどお話ししたような成果を得ることができました。感情論に流されず、電卓を叩いて答えを出せば、正しい結果を導き出すことができます。

 企業を集約して生産性を向上させて労働者の賃金が上がる環境を作り出せれば、日経平均株価も上がります。もしそれができなければ、日経平均株価は2万円台から大きく上がることはないでしょう。

 私は日本人にもっと潜在能力を発揮してもらって人口減少に耐える仕組みを作り、GDP総額が大きく増えなくても一人一人の能力にふさわしい賃金を得ることで豊かな社会が実現して欲しいと願っています。それができれば日本経済にも大きな期待が持てると考えています。

■デービッド・アトキンソン

1965年英国生まれ。オックスフォード大学で日本学専攻。1987年アンダーセン・コンサルティング入社。その後ソロモン・ブラザーズ証券、ゴールドマン・サックス証券を経て、2009年、国宝重要文化財の修復を手がける小西美術工藝社入社。2011年同社会長兼社長に就任。

 

 デービッド・アトキンソンさんが登壇する20周年の東京セミナーは10月5日開催です。
 詳細や申し込みはこちらから>>

前編:日本の経済成長についての分析を見る>>