ウォーレン・バフェットは次なる暴落待ち!?
ウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイの現金比率は2016年以降上昇し、現在手元現金が1,110億ドル(約12兆円)に達している。これは次の危機に備えた動きだろう。
バークシャー・ハサウェイの現金ポジションとS&P500の推移
NYSE(ニューヨーク証券取引所)とナスダックの合計時価総額を米国の名目GDP(国内総生産)で割った値であるウォーレン・バフェット考案の『バフェット指数』(100%を超えると過熱水準)をみると、現在は150%と過去最高水準にある。エール大学のロバート・シラー教授が考案した『シラーPER』も現在30倍を超えているが、過去の相場で『シラーPER』が30倍を超えたのは2000年のドッドコムバブル時と世界恐慌がおこった1929年の2回しかない。
通常のPER(株価収益率)も歴史的に高水準にあるが、悪材料が出ても市場は材料視しておらず、その楽観は過剰と判断される水準に達している。バフェットは、バフェット指標(米国株式市場の時価総額の名目GDPに対する比率)が150%近い現状では、バフェットは少なくとも長期の買いポジションを持つ時期ではないという判断のようだ。
バフェット指標は150%近辺まで上昇
シラーPERは過去2番目に高い水準
バークシャー・ハサウェイの現金ポジションの前回のピークは、金融危機直前の2007年末の433億ドルである。2008年にはリーマン危機の最中、ゴールドマンサックスの株を安く手に入れて大もうけしたが、2008年末の現金ポジションは255億ドルに減っていた。
ウォーレン・バフェットは暴落する前に株を売り、暴落すると株を買うという逆張り投資家だ。これは、なかなかできることではない。人間の心理に素直に従って投資行動をすると、暴落する前に株を買い、暴落すると株を売らざるを得ないというバフェットと逆の行動になってしまうのである。