直近の米国GDPは堅調。しかし成長率を押し上げたのは特殊要因だった

 先週26日、米国の景気の勢いを判断する重要指標が発表されました。発表された米国4-6月期のGDP速報値は、予想+1.8%に対して+2.1%と予想を上回りました。予想よりも堅調なGDPだったということでマーケットは好反応を示しました。しかし、果たして、景気の勢いをつなげる内容だったのでしょうか。どうやら、手放しで喜べる内容ではなかったようです。

 成長をけん引したのは、GDPの7割を占める個人消費が前期比年率で4.3%増え、1年半ぶりの高い伸びとなりました。しかし、設備投資は0.6%減少し、約3年ぶりにマイナスとなり、住宅投資は1.5%減と6四半期連続のマイナスとなりました。さらに輸出も5.2%減少し、3四半期ぶりのマイナスとなりました。

 また、成長率を押し上げたのは、政府機関の閉鎖が解除されて政府支出が一時的に増えた特殊要因でした。2.1%の成長率の内、政府支出の寄与度は0.85%分あると言われています。この政府支出増という特殊要因を除けば、4-6月期の米国GDPは1.25%まで下がっていた計算になります。

 もしそうだとすると、米中貿易協議が年内に解決しなければ、FRBの「予防的」利下げは続く可能性があります。また、次回10月のIMFの世界経済見通しでは、米国の成長率を下方修正してくるかもしれません。

 今回のFOMCでは0.25%の利下げが織り込まれているため、注目点は景気認識と緩和姿勢の持続性に移ってきています。パウエルFRB議長は「予防的利下げ」を続けなければいけないような厳しい景気認識を示すのでしょうか。9月、あるいは12月の利下げを示唆するようなメッセージをマーケットに送るのかどうかに注目です。