米景気の黄信号点滅

 図をもう一度ご覧ください。米国債2年金利は昨年2018年に3%がらみまで上昇しました。好景気が続くと、金利は上昇します。金利は「株価の重力」と言われ、一線を越えた金利上昇は株価へ引き下げ作用を発揮します。

 今後、米景気が下方に底堅く、上方に過熱感ない狭い軌道を首尾よくたどれるなら、ドル/円が110円付近にとどまる可能性は残っています。しかし、米景気拡大サイクルは既にほぼ完全雇用状態に至っており、伸び代の限られた終盤と見るのが妥当でしょう。ドル/円が、好景気の持続で110円超を上伸するより、100円方向へ下振れるリスクに備えるステージと判断しています。

 次回以降、こうした景気サイクルの変節を読み取るシグナルと、相場との対応関係を確認しながら、米国経済と市場の現状を読み解きます。その上で、近年起こりつつあるサイクルの変調をご紹介しましょう。

図:日本の景気と米2年国債利回りのサイクル

出所:日本銀行、Bloomberg Finance L.P.のデータから田中泰輔リサーチ作成