「株主優待」と「株主平等原則」との関係

1.はじめに

 皆さんは当然、株主優待は適法で有効なものと思っていますよね。ですが、株主平等原則との関係が問題になるのです。ほとんどの会社では、株主優待を各株主の保有株式数に比例した取扱いをしていません。

例えば:

  • 200株~499株の株主にはクオカード1,000円分
  • 500株~799株の株主にはクオカード2,000円分と、

ある程度の株式数でランク付けして、株主優待を設定しています。そうすると、100株しか保有していない株主は、何にももらえない結果になり、また200株保有の株主と400株保有の株主では、同じクオカード1,000円となります。さらに200株の株主でクオカード1,000円なのに600株の場合は3倍の3,000円ではなく2,000円となります。

 このような株主優待の割り振りは、会社法が要求する保有株式数に比例した取扱いになっていません。この点で、株主優待が株主平等原則に反するのではないかが問題となってきます。

2.無効説と有効説

 昔は、株主平等原則において法の定め以外の例外は一切認められない、だから株主優待は無効だという説もありました。でもこれだと筆者も困りますし、投資家の皆さんも困ってしまうので、なんとか株主優待を有効にしたいですよね。

 そこで「株主平等原則は、形式的には平等に反しているように見えても、実質的な平等に反するものでなければ許容されるのだ」とする説が出てきます。

 株主間の実質的な平等を損なわない範囲、具体的には、その方法が社会の常識に照らして相当であり、株主優待の内容も一定の合理的な範囲内のものであれば(株主優待の程度が軽微であれば)OKとする考え方です。

 この説では、株主優待は、その会社の株式を長期に保有してもらい安定株主を増やすために有効な手段なのだということも強調します。もちろん、「優待弁護士」と言われている私もこの説に賛成します。

以上より、現在はこの有効説がおおむね通説となっています。